台北国際中医薬学術フォーラムに参加して・崔衣林先生特別寄稿

台北国際中医薬学術フォーラムに参加して・崔衣林先生特別寄稿

当ブログで中医学関連の記事を寄稿していただいている崔衣林先生が、世界的規模の大きな学会に参加されてきました。その模様をレポートしてくださいましたので皆様におしらせします。

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世界中から1800名が来場

3月9、10日に台湾にて中医国際フォーラム《2019第89回国医節第11回台北国際中医薬学術フォーラム》が開催されました。私も去年に続き、今年も参加させていただきました。日本からも多くの先生方が参加されました。

国医節とは、ドラマ《老中医》の主題となりました1929年の政府の中医廃止法案に対抗し、中医を守り抜き、伝統を現在にまで継承していることを祝し、定められた記念日です。フォーラム自体は2010年より開催され、当初は中国大陸、アメリカ、カナダ、日本、韓国、シンガポール、マレーシアの中医専門家が参加していました。第11回となる今回のフォーラムには1800名以上の方が参加され、海外からは中国大陸をはじめ、香港、マカオ、韓国、日本、シンガポール、マレーシア、インドネシア、カナダ、アメリカ、ブラジル、ニュージーランド、オーストラリア、フランス、ドイツ、スイス、スペインなど18か国及び地区から330名以上の方が参加しました。フォーラムは、大会場を含む6会場にて56講演が開催され、3月8日より15日までは19名の専門家による特別講演も開催され、大盛況でした。

開会宣言がなされ、来賓挨拶が終わると、初めに講演されたのは世界董氏奇穴鍼灸総会会長・中華中医学説学理学会創会理事長である楊維傑先生。楊維傑先生は鍼灸泰斗である董景昌の内弟子、中医泰斗劉渡舟や易学泰斗朱伯昆の博士生。北京大学の博士、北京中医薬大学の博士、中西医科大学博士。山東生まれ、台湾育ち、現在はアメリカに居住されておられます。私の師伯にあたります。

講演では、傷寒論の哲学思想、傷寒論と金匱要略の弁証方法についての内容でした。傷寒論の哲学思想は非常に豊富で、①陰陽観(対立統一観)、②整体観(天人相応、系統観、整体治療)、③変動観(恒動観、質量互変、動中有静)、④三分観(一分為三)、⑤交済観(寒熱相済、開閉相配、動静並用、昇降相因)、⑥中和観(陰陽自和、薬物調和)、⑦時間観(因時制宜、六経癒時)、⑧象数観(象は症状であり、情報である)などがあり、その他、往復観や周易の簡易原則などを紹介されました。傷寒論と金匱要略の弁証方法については①比較法、②分析と総合、③帰納法、④淘汰法、⑤反証法、⑥試探法、⑦推測法、⑧黒箱方法などを紹介されました。これらは張仲景が用いた思考方法と弁証論治の方法で、中医学弁証の研究を行う上で非常に重要だと強調されました。

次に講演されたのは北京中医薬大学博士生指導教員、中華中医薬学会方剤量効研究分会副主委である傅延齢先生。傅延齢先生は中医泰斗劉渡舟の内弟子で国家が認めた学術継承人、国務院特殊津貼専門家、北京中医薬大学国際学院院長・継続教育学院院長を歴任されました。私の博士課程の指導教員です。

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講演では、経方本原剤量問題の意義についてでした。傷寒論や金匱要略の著者である張仲景は2000年前、どのくらいの量を使っていたか? 各時代での研究結果が1g〜22.4gと差がある中、本来の使用量は一両=13.8gであると結論されました。国際的に権威のある度量衡の研究では東漢時代では一両=13.8gと結論しており、同様の結果になっております。しかし、この結果だと傷寒論の麻黄湯の麻黄は三両であるため41.4gになってしまいます。したがって2000年もの間、多くの専門家によって論議されてきたのです。張仲景が公的な東漢の官秤を用いない必要がない、国家に反することはない、反する理由もない、反する権力もない、他に代するものもないことから公的な東漢の官秤を用いたと述べられました。そして東漢時代は急性疾患を治療し、速攻性が求められることから多量を用いたそうです。漢代唐代は大湯剤、宋代元代は煮散剤、明民代は小湯剤、当代は新大湯剤(少量多味)の特徴も明らかになりました。古くから《中医の秘伝は量にあり》と言われるように、量は臨床において非常に大事であると強調されました。

この他、多くの先生方が発表をされました。台湾の文化は、多くのものを受け入れることができるの寛大な器があります。中医学においても同様で、国や地域を隔てることなく、良いものをどんどん取り入れ、常に成長しております。今回フォーラムに参加し、世界各国の中医学を学び、世界各国の先生方とお知り合いになることができました。現在中医学は、世界で発展し、世界で活躍しております。今後は世界基準の中医学をより多くの方が学べる環境が整い、より多くの患者さんの役に立ち、社会の発展に繋がることでしょう。

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