漢方は医薬品?それとも食品?

漢方は医薬品?それとも食品?

漢方とは一体なんでしょうか?

漢方”薬”というくらいなので薬なのではないか。それとも、自然にあるものからできているので食品なのではない。よくわからないという方が多いと思います。

漢方は行政ではどのように分類されているのでしょうか。 医薬品と食品の違いは結構難しいのですが、記事の後半で詳しく解説します。興味がある方は読んでみてください。

漢方は医薬品

口から入るものは医薬品か食品、どちらかに分類されます。簡単に言うと食経験の蓄積があるものは食品で、病気に対する臨床使用経験の蓄積があるものが薬でした。

漢方薬は、生薬を一定の配分で組み合わせたものです。生薬自体は、生姜、みかんの皮など、食品のようなものも含まれます。

参考:漢方薬と民間薬(生薬)との違い

結論から言うと、漢方薬は全て食品で構成されていたとしても、ほぼ全てが医薬品です。ただし、医師から処方されたものでなくても、薬局やインターネット等で誰もが購入できます。食品で構成されているため、ある程度の安全性の確保と、副作用がほとんどないというのが特徴なのです。

参考:漢方薬の副作用について

食品、医薬品にはそれぞれ細かい分類があります。以下で詳しく解説します。

食品とは何か

食品は、①特別用途食品②保健機能食品③一般食品(いわゆる健康食品)に分けられます。

①特別用途食品

病者用食品(糖尿病者用、腎臓病食など)、嚥下困難者用食品など特別の用途に使用します。乳児用調製粉乳も含まれます。

②保健機能食品

保健機能食品は、特定保健用食品(通称トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品に分類されます。

−1 特定保健用食品(トクホ)として有名なのは伊右衛門特茶でしょうか。特定保健用食品(トクホ)は消費者庁が許可しています。

−2 栄養機能性は、1日に必要な栄養成分が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品です。現在、ビタミン13種類、ミネラル6種類とω-3系脂肪酸が認められています。栄養機能表示と注意喚起表示を確認して利用します。

−3 機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示した食品です。平成27年4月に始まった新しい制度です。これには生鮮食品も含まれていて、例えば「三ヶ日みかん」には、β-クリプトキサンチンが含まれています。β-クリプトキサンチンは骨代謝の働きを助けることにより、骨の健康に役立つことが報告されています」と表示されています。

③一般用食品

みなさんが食品と聞いて描く基本的なイメージのものです。スーパーや小売店で売っている食品に相当します。栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品といった表示で販売されている食品類も実は一般食品です。つまり、これらは機能についての表示ができません。

医薬品とは何か

次に薬のお話しです。簡単に言うと、食経験の蓄積があるものは食品で、病気に対する臨床使用経験の蓄積があるものが薬とお話ししました。これは漢方の世界ではほぼほぼ当てはまりますが、近代以降になると化学合成物や微生物の代謝産物が薬として登場します。そして有効性と安全性が確認されたものが薬として承認されます。

薬機法(医薬品、医療器機等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、昔の薬事法です。)の第1条には、「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療器機の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行う」とあります。そして食品衛生法の第4条には、「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」とあります。

そして薬機法の第2条に、医薬品の定義があります。

一 日本薬局方に収められている物

二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物(以下略)

三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物(以下略)

ところが、生薬は医薬品と食品の境が微妙です。つまりなんとなく決められているのです。そして厚生労働省が食薬区分において、その成分本質が専ら医薬品として使用されていると判断したものがリストになっています。そこには、アロエ、インドジャボク、カッコン、ショウマ、チョウセンアサガオ、トリカブト、マンケイシなどがあります。一方で、非医薬品のリスト(医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない原材料リスト)には、アガリクス、アロエ、ウコン、カボチャ、ショウキョウ、セイヨウニンジンボク、ブラックホッシュなどがあります。以前、抗がん効果を期待されて相当量が使用されたアガリクスは非医薬品のリストに含まれています。

一方で、西洋ハーブは、西欧では医薬品として流通していますが、日本では食品として扱われているのです。 医薬品は、医療用医薬品とOTC医薬品(一般用)の二つに大きく分けられます。医療用医薬品は、処方せん医薬品、処方せん外医薬品、薬局製造販売医薬品(薬局製剤)に分けられます。処方せん医薬品、処方せん外医薬品は、医師若しくは歯科医師によって使用され又はこれらの者の処方せん若しくは支持によって使用されることを目的にとして供給される医薬品を言います。薬局製剤は、薬局開設者が薬局の設備と器具で製造し、消費者に販売する医薬品のことで、特別の許可が必要です。薬局製剤は、ネットで購入することも可能です。保険適用漢方エキス剤は148種類、また保険適用漢方塗り薬が1種類あります。それらはすべて処方せん外医薬品です。

つまり医師の処方せんがなくても保険適用漢方エキス剤は薬局で販売できるのです。この場合処方せんがないので、保健適用はされません。 OTC医薬品(一般用)は、医療用医薬品以外の医薬品をいいます。すなわち、一般の人が薬局等で購入し、自らの判断で使用する医薬品であって、通常、安全性が確保できる成分の配合によるものが多いです。OTC医薬品(医療用)は、リスク別に要指導医薬品と一般用医薬品(第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品)に分類されます。このリスクの程度によって買い方が変わり、分類に応じた薬の説明を薬剤師などの専門家が行います。要指導医薬品と第1類医薬品は、薬剤師が書面を用いて、適正使用のために必要な情報提要を行うこととされています。

また、要指導医薬品は、購入者ご本人がその症状のある時しか購入することができませんし、ネットで購入することもできません。第2類医薬品と第3類医薬品は、薬剤師と登録販売者が販売することができますし、ネットでも購入できます。OTCの漢方薬は第2類医薬品です。 医薬品と健康食品の違いを正しく理解し、正しく利用することが重要です。医薬品は病気の診断、治療や予防のために使用するために使用するものであり、その有効性や安全性などについて審査され承認を受けた物です。また医薬品の製造(輸入)や販売には厚生労働大臣または都道府県知事の許可が必要となります。健康食品は栄養成分を補給するものであり、「病気がなおる」などの薬効を健康食品のラベルや小箱やパンフレットに記載したり、販売時に説明するなど、医薬品のような効能効果を期待させることは、無許可医薬品として薬機法違反になります。

また、健康食品は過剰に摂取することにより健康障害を起こし他事例も発生していますので、正しく利用することが大切です。 漢方薬の甘麦大棗湯は甘草、小麦、大棗(なつめ)と全て食品から構成される漢方薬です。ところが、小麦は日本薬局方にはありませんが、甘草と大棗は日本薬局方に収載されております。そして日本薬局方に収載されていればオートマチックに医薬品です。漢方薬として販売するときには、甘麦大棗湯は医薬品となります。漢方薬は食品成分で構成されていても、実はほぼすべて医薬品となります。

さて、もしも副作用がまったくなく、明らかにがんに有効な食品が見つかった場合、幅広く食品として販売してがんの予防に資すれば、それは国民の健康に有益です。しかし、「副作用がなくがんに有効」といった効能効果をまったく謳えないのです。一方で、医薬品となれば、効能効果を大々的に謳って宣伝が可能になります。しかし、医薬品ですので、通販でも直販でも、薬剤師または登録販売業者からの購入が必要です。