煎じ薬とエキス剤の違いとは?保険適用は可能か【漢方医が解説】

煎じ薬とエキス剤の違いとは?保険適用は可能か【漢方医が解説】

「エキス剤より煎じ薬の方が効くんですよね?」「煎じ薬は何万もするので迷っているんです」などと言われることがあります。そもそも煎じ薬って何?という方もいらっしゃると思いますので、エキス剤と煎じ薬の違いについて解説します。

煎じ薬とは

煎じ薬とは配合した生薬をお湯で煮詰めたものです。

煎じ薬の利点は、生薬をいろいろと加減できることです。構成生薬の分量の加減もできますし、また新しい生薬を加えたり、特定の生薬を抜いたりもできます。オーダーメイドの漢方薬が作れると言うことですね。ブレンドコーヒーをマメの種類や量をいろいろ工夫してより美味しくするのと非常に似ています。

欠点は毎日煎じることはちょっと無理なことがあります。煎じるには30分は必要ですから。また携行には向きません。つまり現代人がポケットにいれて持ち歩くという西洋薬のイメージからはまったく別物になります。

エキス剤とは

エキス剤とは、インスタントコーヒーのようなイメージです。インスタントコーヒーはお湯に溶かすと本当のコーヒーに非常に近くなります。同じように漢方のエキス剤もお湯に溶かすと昔ながらの煎じた漢方薬に近くなるのです。

前述の通り、煎じ薬は持ち運びに不向きです。そこで、エキス剤が登場しました。煎じ薬を煮詰めて、その成分を乳糖などに吹き付けて、そして顆粒にしています。通常は5年間の有効期限があります。便利ですね。

保険適用は可能か

日本では148種類のエキス剤が保険適用です。医者に行って、そして処方せんをもらうと本当に安価に購入できます。三割負担で一ヶ月処方してもらって、皆さんが薬代として支払うお金は平均1000円です。一ヶ月分でたった1000円なのです。素晴らしい我が国の保険制度ですね。

そして実は、煎じ薬にも保険が適用されています。ただ、その処方せんを扱える薬局が少ないのです。院内薬局でも院外薬局でもいいのですが、たくさんの生薬を常備している必要があります。生薬の値段が高騰している昨今、たいした利益にならない保険適用漢方煎じ薬を扱うことができる施設は限られています。生薬には品質があります。素晴らしい生薬を揃えると保険適用のお金では赤字になります。そこで致し方なく自費診療を行っている漢方医も少なくありません。

どちらを試せばいいのか

どちらが効くかというお話ですが、当然煎じ薬の方が効果的なことが多少多いです。が、エキス剤でも十分効果を感じられます。漢方のエキス剤も煎じ薬も保険適用なのですから、まずどの医療機関でも扱える保険適用漢方エキス剤を試してみる。そして治らない時は、保険適用の煎じ薬を試してみる。それでも治らない時は、自費の漢方薬を試してみるという順番が正しいように思えます。また、西洋医学で治せる疾患は基本的に西洋医学が優先されるべきです。

薬局で処方せんが不要で購入できる漢方薬(OTCと言います。)も結構重宝です。処方せんで購入する場合に比べれば少々高価ですが、医療機関を受診する費用と貴重な時間のコストを考慮すると、もっとOTC漢方薬が身近になればいいと思っています。こんな症状にはこんな漢方とわかるようになれば、敢えて医療機関を受診する必要はありません。