漢方薬の副作用について

漢方薬の副作用について

漢方薬は西洋医学の化学薬品に比べて副作用は少ないです。薬によって合う人、合わない人がいますが、大変な病気になるなど深刻なものではないです。それでも気をつけるべきものがなかにはあります。この記事では代表例を紹介します。

小柴胡湯の禁忌事項

小柴胡湯(しょうさいことう)は有名な漢方薬ですが、副作用の恐れが他のものに比べて多いです。このブログでは、小柴胡湯を頻用したい場合でも、誤投薬を避けるために柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)に変えてお伝えしています。

小柴胡湯の添付文書には禁忌事項(投与を絶対に避けるべき対象)として以下のように書いてあります。

・インターフェロン製剤を投与している患者

・肝硬変、肝癌の患者

・慢性肝炎における肝機能障害で血小板数が10万/mm3 以下の患者

このような方には小柴胡湯を使わないようにしてください。

小柴胡湯による間質性肺炎、発熱、咳、息切れ

小柴胡湯には、間質性肺炎を引き起こすリスクもあります。添付文書では小柴胡湯のみ赤字で記載されていますので、ほかの薬よりリスクが高いのでしょう。私としてはそれほど起こらないと考えていますが、起きている場合に患者さんが投与をやめて改善しているケースも相当数あると指摘くださる方もいます。

そのほかには、発熱、咳、息切れの原因となりえますので注意してください。

抗がん剤、抗リウマチ薬、抗不整脈薬によって間質性肺炎が引き起こされることは有名ですが、総合感冒薬でも起こる可能性はあります。

甘草による偽アルドステロン症

甘草(かんぞう)は多くの漢方薬で用いられる代表的な生薬です。この甘草に含まれるグリチルリチンにより高血圧になったり、浮腫(むくみ)が起きたり、血清カリウムの低下が引き起こされる可能性があります。低カリウム血症では以下のような症状が起きます。

  • けいれん
  • 筋肉のぴくつきやこわばり
  • 低血圧
  • 腸閉塞
  • 横紋筋融解症

甘草の投与が1日6mgで起こりやすいと言われますが、2mgでも起きた例があります。逆に、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を何年も処方されている方で、平気な方も大勢いらっしゃいます。

高齢者で、女性は男性の2倍起こりやすく、低身長、低体重の方も起こりやすいといわれています。

麻黄による高血圧

麻黄は葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)など、多くの処方で用いられる生薬です。この麻黄から血圧上昇薬であるエフェドリンが発見されました。このことをしらずに麻黄が含まれる漢方薬(麻黄剤)を長期処方していると高血圧を招くおそれがあります。

麻黄剤の長期投与を患者さんが希望する場合は、血圧計を用意し、毎朝計測するようにしてください。血圧が上昇傾向になったらその旨を医師に伝えましょう。

附子による動悸、不整脈、ほてり、頭痛

附子(ぶし)はがん治療で使える有能な生薬です。単剤で追加が可能。熱剤ですから体温が高い方や子供では副作用が出やすいです。反面、体温が低い方には、相当な附子の量が使えるのです。

不快な症状の代表例は以下のようなものです。

・汗が出すぎる

・動悸がする

・ムカムカする

・下痢をする

・火照る

・頭痛がする

・舌がしびれる

ご自身が飲める附子の量を把握しておくことは、その後のためにも大事です。

大黄による下痢

大黄(だいおう)を含む漢方薬を飲むと下痢をすることがあります。その薬は

・大柴胡湯(だいさいことう)

・茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)

・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)

・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)です。

漢方では、血流がうっ滞し生理機能を十分に果たせなくなった状態にある血液、およびそれによって起こる諸症を瘀血(おけつ)といいいます。大黄はこの瘀血を正常に戻す「駆瘀血」効果のある生薬です。しかしそれに伴い下痢を起こしやすくなります。

漢方では便秘よりは下痢の方が、生薬の効果が増すと考えられ、いわば薬が効いている必要悪と捉えられる側面もあります。しかし下痢はしないほうがいいので量や日数に注意しましょう。

防風通聖散(ナイシトール)による肝機能障害

防風通聖散には、まれですが重い副作用として肝機能障害といった肝・胆道系副作用、間質性肺炎といった肺・呼吸器系副作用が知られています。OTC製剤の防風通聖散では、全33品目中、方剤名と商品名が異なる品目が15品目(例:コッコアポシリーズ、ナイシトールシリーズ)と半数近くあります(2017年7月現在)。防風通聖散OTC製剤の構成生薬含有量は医療用の2/3、1/2量、同量などさまざまですが、含有量の少ないOTC製剤でも副作用発現状況は医療用と変わりがないことが報告されています。3か月に一度は採血して肝機能をチェックするようになさってください。

アレルギー症状・皮膚粘膜症状を起こすリスクがあるもの

桂皮(けいひ)、当帰(とうき)、黄芩 (おうごん)でリスクがあります。これらを含む漢方薬を飲んで、赤みやかゆみが出た場合は疑いましょう。しかし少々のかゆみで避けていると、西洋薬を含めて処方できるものがなくなります。適切な判断が必要です。

まとめ

漢方薬の代表的な副作用を紹介いたしました。漢方に親しもうとお考えの方は、その作用とともにリスクについてもご承知おきいただきたいものです。この記事が参考になれば幸いです。