駆瘀血剤でひとゆすり
- 2019.11.27
- 漢方処方119番

症例
60歳代 女性
皮膚科で治らない湿疹
十味敗毒湯(4週)→消風散(4週)→温清飲(4週)→荊芥連翹湯(12週)と処方するも無効
そこで、大柴胡湯+桂枝茯苓丸を12週処方
「こちらの漢方は、少々いいような・・・・」
最初の処方である十味敗毒湯に桂枝茯苓丸を併用して湿疹軽快する。
解説
これだけ長い経過ですので、信頼関係がないとダメですね。西洋医学で散々診てもらって、でも治らないのでしょうがなく頑張ったのかもしれませんね。困ったときには柴胡剤+駆瘀血剤という作戦を使いました。
まず大柴胡湯+桂枝茯苓丸を処方しました。次に十味敗毒湯には柴胡も入っているので、十味敗毒湯+桂枝茯苓丸としました。
最初の処方に帰ることで治ることもあります。桂枝茯苓丸という駆瘀血剤の投与で体質が改善し、最初の処方である十味敗毒湯が有効となったのかもしれません。以前に使用したからと言って、それが処方選択からはずれる絶対的根拠にはならないということですね。こんなことが出来るのも、体全体を治すしか知恵がなかった時代の叡智だと僕は思っています。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。