反対の作用にも効く 漢方の不思議 半夏白朮天麻湯

反対の作用にも効く 漢方の不思議  半夏白朮天麻湯

症例

60歳代 女性

「先生、めまいを治してもらいたい。漢方薬がほしい。」

疲れやすく、華奢な女性にて半夏白朮天麻湯を処方した。

(再診時)

「めまい、調子いいと思います。」

半夏白朮天麻湯を継続

(しばらくして)

「あの薬で血圧下がりますか?」

「あの薬は通常は低血圧の人に効きますが、漢方薬は反対の作用を示すこともあります。血圧が下がることありますよ。」

「やっぱり、かかりつけ医の先生から血圧の薬が減量されました。」

解説

漢方薬は生薬の足し算の結晶です。ですから、純物の西洋薬剤では考えられないことが起きることがあります。

①用量依存性がないことがある。

②通常とは反対の作用に働くことがある。

③なんでも治る可能性がある。

④なんでも起こる可能性がある、などです。

①:虚証用の薬(真武湯、補中益気湯など)は量が少ない方が有効なことがあります。

②:半夏白朮天麻湯や牛車腎気丸は低血圧も高血圧も改善することがあります。大黄を含む漢方薬は通常は瀉下剤ですが、感染性の下痢を止める働きもあります。五苓散は水が体にあふれている状態では利尿作用がありますが、脱水状態では水保持作用があると言われています。これらは生薬が単一成分でないことと、漢方薬が生薬の足し算であることから当然とも思われます。

③:なんでも治る可能性があることが漢方の魅力です。

④:なんでも起こる可能性があることが、僅かな漢方の危険性です。