腰から下の冷え症に苓姜朮甘湯

腰から下の冷え症に苓姜朮甘湯

症例

70歳代 女性 冷え症

「先生、ともかく腰から下が冷えます。」

「お腹や手は冷えないのですか。」

「冷えません。」

「顔は熱くないですか?」

「熱くないです。」

「ともかく、腰から下が冷えるのです。何とかしてください」

そこで苓姜朮甘湯を処方した

(再診時)

「なんか、いいようだ」

解説

フローチャートでは、手足の冷えには当帰四逆加呉茱萸生姜湯、お腹の冷えには真武湯、ホットフラッシュには加味逍遥散として、そこからまずひとつを選ぶのが定石。ところが、この患者さんは「腰から下が異様に冷える」と訴えました。

古典の苓姜朮甘湯には「水中に坐するが如く」、「腰以下冷痛し、腰重きこと五千銭を帯ぶるが如し」などとあります。そんな記述が気になって、苓姜朮甘湯を処方してうまくいきました。たまたまかもしれませんが、古典がヒントになって上手くいった症例ですね。

先人の知恵を口訣ともいいます。たくさんの口訣が残っていて、ある意味、口訣は偉人のコンセンサスガイドラインのひとつと思っています。コンセンサスガイドラインはおおむね合っていますが、間違っていることもありますね。乳がんの治療のスタンダードが30年前までは、乳腺と大胸筋の全摘だったこともコンセンサスガイドラインですね。これは間違っていました。

漢方の場合は、試しに使ってみて効かなければ、次を試せば良いですね。一方で乳がんの治療で乳腺と大胸筋を摘出した後に、他の治療と言われても無理ですね。漢方はリラックスして使用すれば良いのです。効けば儲けものと思って。