脈を診て過敏性腸症候群に小建中湯

脈を診て過敏性腸症候群に小建中湯

症例

70歳代 男性

「便意が頻回で困ります。内科で過敏性腸症候群と言われています。なにか良い漢方薬はありませんか?」

桂枝加芍薬湯を処方する

(再診時)

「あまり効かないと」

大建中湯や半夏瀉心湯などが次の選択肢だがと思いながら脈をみると、本当に弱い脈。そこで小建中湯を処方した

(再診時)

「今度の漢方薬で便意は大分落ち着きました。継続して飲みたい」

解説

漢方的腹部診察(腹診)は行っていません。全員に行いたいのですが、患者さんが多すぎて行う時間がないのです。疑問を持ったり、処方選択に困ったときにもちろん行います。

一方で脈はいつも全員の脈を診ています。患者さんとのスキンシップが第一で、まれにこの症例のように処方選択に有益な情報が得られます。鍼灸師の先生のような細かな脈診は将来的にも出来そうにありません。僕が出来るのは脈の元気が良いか悪いかぐらいです。

しかしたくさん脈を診ていると、同じ人でも体調や状態で脈の触れ方がことなることを体感します。10秒とかかりませんので、是非すべての患者さんで脈を診てください。

過敏性腸症候群のファーストチョイスは桂枝加芍薬湯です。実証の人では半夏瀉心湯が効くこともあります。虚証では大建中湯が有効な時もあります。桂枝加芍薬湯に膠飴が加わったものが小建中湯です。エキス剤では膠飴ではなく水飴が加えられています。しかし、この虚証向けの小建中湯が有効でした。水飴の有無で効果がこうも違うものでしょうか。