早見えは要注意

早見えは要注意

症例

30歳代 女性

「先生、花粉症の漢方薬もらえませんか」

「では、花粉症の第一選択は小青竜湯ですので、それを2週間処方しますね。心臓がドキドキしたり、胃がムカムカしたら止めてください。」

「先生、妊娠しているのですが・・・」

危なかったな。妊婦にやっぱり麻黄剤はまずいよね・・・・

「西洋薬剤よりは漢方が良いのですね。では、妊娠中と言うことなので、流産防止にも効いて、かつ花粉症にも効くであろう当帰芍薬散を処方しますね」

(再診時)

「完全ではないか、少し良いと思う。これぐらい楽になればいいです。」

解説

江戸末期から明治の漢方の泰斗である浅田宗伯の栗園医訓五十七則に、「虚心にして病者を診すべし。何病を療治するにも、兎角早見えの為る時、拍子に載せられて、誤るものなり。」とあります。

フローチャートはいわば定石集ですが、この病気や訴えにはこれだと思っても、他の訴えがないのか、他の持病はないのか、特別な状態ではないのかなど、漢方薬の候補が頭に浮かんでも、淡々と診療すべきですね。

妊娠中に処方する漢方薬は当帰芍薬散ですが、当帰芍薬散は水毒と瘀血のくすりです。幸い水毒を治す効果が花粉症に有効だったと考えています。漢方エキス剤で流産・早産した報告はありませんが、妊娠中の処方はともかく要注意です