慢性腹膜炎??? 腹診からの処方選択は無効だった

慢性腹膜炎???  腹診からの処方選択は無効だった

症例

48歳 男性 会社員 わけのわからない腹痛

1年半前より右下腹部に変な痛みあり。近医ではまったく問題ないと言われている。20歳時に虫垂炎手術を施行されている。

処方が思いつかないので腹診をやってみる。

体格はがっちりで実証と思われる。

肋骨弓下に圧痛(胸脇苦満)があり、臍傍にも圧痛(小腹硬満)がある。そこで腹診所見から大柴胡湯+桂枝茯苓丸を投与するも無効。

次の処方がまったく思いつかず、窮余の策として柴胡桂枝湯を投与した。すると数週間ですっかり変な痛みがなくなったと。

今から思うと、なんとなく心身症ぽい。

解説

虫垂炎の手術は施行済みで、虫垂炎様の痛みあり。実は憩室炎なども否定されています。困ったときは腹診を頼りに処方しています。そこで腹診所見からは柴胡剤と駆瘀血剤だろうと見当がつき、実証にて大柴胡湯+桂枝茯苓丸としたが全く無効でした。

困ったときの最後の札は柴胡桂枝湯としています。これで少しいいようだと言ってくれたので助かりました。少しいいという柴胡桂枝湯をしばらく継続して軽快した症例です。

生薬レベルから駆瘀血剤を考えるときには、まず実証用では駆瘀血効果のある桃仁、大黄、牡丹皮、紅花、当帰のうち2つ以上を含む、通導散、大黄牡丹皮湯、桃核承気湯、桂枝伏苓丸などとなります。

虚証用は当帰を含み地黄を含まない、当帰芍薬散、温経湯、加味逍遥散、当帰健中湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰湯、五積散、防風通聖散、薏苡仁湯、滋陰至宝湯などが駆瘀血剤となります。防風通聖散や薏苡仁湯は麻黄を含んでいますので、その意味では実証用ですね。

こんなデジタル的にも駆瘀血剤の整理は可能です。入門の手段としては簡単でいいですね。詳しくは『3秒でわかる漢方ルール』と『実践3秒ルール 128漢方処方分析』をご参照ください。