【症例集】食欲不振に六君子湯 あまり効いた感のない薬!!!!
- 2019.10.19
- 漢方処方119番

症例
30歳代 男性
寝汗で困っている。黄耆を含む漢方薬が基本。
黄耆建中湯を処方するも無効
次に防已黄耆湯も無効
疲れているというので補中益気湯を試みるも無効
食欲・気力がないというので六君子湯を処方
「なんだか便通がいい。食欲が増した。」
寝汗はその後徐々に軽快
解説
寝汗はときどき相談されます。黄耆を含む漢方薬が使用されます。参耆剤の他、黄耆建中湯、防已黄耆湯などです。それらが無効でした。
六君子湯は病名投与で勧めるとあまり体感が得られない薬とMRさんから伺いました。一方、大建中湯や芍薬甘草湯は病名投与で結構な有効感を得られるそうです。六君子湯は元気がないときの、虚証で、気虚のときの薬にて、そんな縛りを無視して処方するとやっぱり効きにくいのかなと思ってしまいます。
しかし、この例のように、いろいろと困って、そして食欲不振をキーワードにして処方すると、結構効果がある薬と合点がいきます。漢方を好きにするために勧める漢方薬と、ある程度漢方を使っている人が使用する漢方薬は当然に違うはずですね。もっともっと漢方好きの医師が増えることを祈っています。患者さんのためになるのですから。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。