【症例集】十全大補湯と補中益気湯

【症例集】十全大補湯と補中益気湯

症例

70歳代 男性

「前立腺癌で放射線治療と抗がん剤の治療を行うので、なにか漢方薬を処方してもらいたい」と言って来院

十全大補湯を処方

(再診時)

「あのくすりは胃がムカムカします。」

補中益気湯を処方

(再診時)

「今度の薬はムカムカしません。そして元気が出たような」

解説

十全大補湯も補中益気湯も参耆剤です。大きな手術や癌で入院し漢方薬を希望されるときには、まず補中益気湯を処方しています。また、癌の化学療法や放射線療法を行って貧血が予想されるときは十全大補湯を処方しています。

十全大補湯は四物湯(当帰・芍薬・川芎・地黄)+四君子湯(蒼朮・伏苓・人参・甘草)+黄耆・桂皮の10種類の生薬です。地黄が含まれていることが要注意なのですね。地黄が滋養強壮剤ですが、これが胃に障ることがあります。その点がちょっと使いにくい点ですね。

参耆剤で地黄を含む漢方薬は人参養栄湯や大防風場です。これらも胃に障ることがあります。使いやすさは補中益気湯です。まずムカムカすることはありません。実証のひとが参耆剤を飲むと体が熱くなるなどの軽い不快感を訴えることがありますが、通常ごくごく軽いものです。参耆剤は補剤の代表として重宝されます。

人参剤である四君子湯や六君子湯も気力をつけるには役に立ちます。四君子湯+陳皮・半夏が六君子湯です。ちなみに四君子湯には生姜と大棗が含まれます。昔は生姜と大棗は家庭に料理用として用意されていたようです。