【症例集】手荒れに桂枝茯苓丸加薏苡仁
- 2019.10.09
- 漢方処方119番

症例
40歳代 女性
「先生、手荒れがひどくて困っています。皮膚科の先生に診てもらっていますが治りません。塗り薬をもらっています。」
「便秘ではありませんね。では、漢方薬を処方します。皮膚科の塗り薬は続行です。また、できる限り手袋などをして手や指を守ってくださいね。」
桂枝茯苓丸加薏苡仁を処方
(再診時)
「少し良くなりました」
しばらく続行し、軽快した。
解説
皮膚科から出ている外用薬は継続です。皮膚科の先生が飲み薬を出していても継続です。漢方薬は西洋医学の補完医療という立場ですから、ただただ西洋医学的治療に足していけばいいのです。手荒れには温経湯や桂枝茯苓丸加薏苡仁が有名ですが、日常的な手指の管理も大切ですね。手袋をしっかりと着用するなどです。また便秘も大敵です。そんな細々したことまで含めて指導して、よくなると嬉しいですね。
ツムラ保険適応エキス剤の桂枝茯苓丸加薏苡仁は、単純に桂枝茯苓丸に薏苡仁を足したものではないのです。桂枝茯苓丸は桂皮、芍薬、桃仁、伏苓、牡丹皮の5種の生薬がそれぞれ1日量で3㌘です。一方で桂枝茯苓丸加薏苡仁は桂枝茯苓丸の5種の生薬がそれぞれ1日量で4㌘で、薏苡仁が10㌘加えられています。しかし微妙な違いがありますが、4/3の違いを僕は意識して処方選択することはありません。漢方薬はバランスが大切と思っています。総量は大雑把でいいと思っています。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。