【症例集】黄連解毒湯で鼻出血もっと出る
- 2019.09.27
- 漢方処方119番

症例
60歳 男性
のぼせを訴えて以前より黄連解毒湯を飲んでいる。
「イライラも落ち着いて、夜もよく眠れてなかなかいい。ずっと飲みたい。」
(ある日来院)
「先生、あの薬鼻血にも効くと書いてあったので、先日鼻血が止まらないときに飲んだら、かえって鼻血が止まらなかった・・・・・」
「どうやって飲んだのですか?」
「お湯に溶かして方が、効果が増すと聞いていたから、お湯に溶かして飲みました。何か・・・・・」
「鼻血の時は、冷たくして飲まないと・・・・」
「そうだったんですか。次回は冷やして飲んでみます」
解説
黄連解毒湯は添付文書には吐血、下血、喀血、鼻出血などが記載されています。そんな時は冷やして飲んだ方が有効だという経験知があります。
不思議ですね。自分の子供がなかなか止まらない鼻血を出したときに黄連解毒湯を冷やして飲ませて著効しました。知っていると得する薬ですね。
黄連解毒湯は黄芩、黄連、黄柏、山梔子の4種類の構成生薬です。三黄瀉心湯は黄芩、黄連、大黄の3種類の構成生薬です。黄芩と黄連の組み合わせは通常「瀉心湯」と呼ばれます。半夏瀉心湯、生姜瀉心場、甘草瀉心湯などがそうです。よって黄連解毒湯も瀉心湯に分類されます。
便秘の人には黄連解毒湯よりも大黄を含む三黄瀉心湯が好まれます。黄連解毒湯は温清飲、荊芥連翹湯、柴胡清肝湯にそのまま含めれます。また黄芩と黄連を含む漢方薬には他に、柴陥湯、清上防風湯、女神散などがあります。高ぶった気持ちを落ち着ける効果があります。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。