【症例集】手元の処方で頑張る・花粉症に越婢加朮湯がないときは?
- 2019.09.24
- 漢方処方119番

症例
40歳代 男性 知人
電話で
「この前もらった小青竜湯が効いているが、最近はそれでも花粉症の症状が出て困る。どうすればいい?」
「小青竜湯よりも強い越婢加朮湯を飲めばいいと思うが、外来に取りに来られませんか?」
「忙しくていけない・・・」
「では小青竜湯を1日6回まで増やしていいですから。もしもムカムカ・ドキドキしたら減量してくださいね。」
後日、小青竜湯の内服回数増量でうまくいったと教えてくれた。
解説
小青竜湯は麻黄が1日量で3グラム、一方で越婢加朮湯は6グラムです。
小青竜湯を倍の1日6回飲んで、麻黄の量的には越婢加朮湯と同じになります。ですから、西洋医学的感覚と同じに服用量を増加する方法も実はありですね。小青竜湯を毎食前に飲んでもらって、かつ外出前などに飲むと1日だいたい6回ぐらいになります。これでうまくいく人もいます。大切なことは、漢方だけで頑張らないことです。
西洋薬もしっかり使う。マスクもする。そして漢方も飲むと言うことです。そして自分が楽になるように工夫しましょう。漢方を併用すると西洋薬の量が減るので、いざというときにその西洋薬剤を保険として残しておけますね。洋の東西は無関係、どんどんといいことをやりましょう。
-
前の記事
【症例集】副作用のない脇役を加える 人参湯、苓桂朮甘湯、苓甘姜味辛夏仁湯 2019.09.23
-
次の記事
【症例集】めまいでは目標を低く、でも満足できるものに。 2019.09.25
Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。