【症例集】副作用のない脇役を加える 人参湯、苓桂朮甘湯、苓甘姜味辛夏仁湯
- 2019.09.23
- 漢方処方119番

症例
30歳代 女性
花粉症にて来院
小青竜湯を内服。少々いいがまだまだ。
そこで越婢加朮湯に変更。これは心臓を感じると。
小青竜湯に苓甘姜味辛夏仁湯を追加
もう少し良くなりたい。
そこで、麻黄附子細辛湯と苓甘姜味辛夏仁湯に
これもいいようだ。
麻黄附子細辛湯+苓甘姜味辛夏仁湯+苓桂朮甘湯
これで相当良くなる。
解説
麻黄剤で結構強力なものは越婢加朮湯です。麻黄の量は1日6グラムです。花粉症のファーストチョイスの小青竜湯は麻黄の量は1日3グラムです。もっとも優しい麻黄剤と呼ばれる麻黄附子細辛湯は麻黄の量は1日4グラムです。つまり優しいのに麻黄が小青竜湯より多く含まれているのですね。
小青竜湯でいまいち、越婢加朮湯は飲めないという人には、麻黄附子細辛湯を試してみればいいですね。麻黄に含まれているエフェドリンが花粉症に効果があることは西洋医学的には当たり前ですね。麻黄が主役です。一方で脇役も意地らしくて好きです。小青竜湯の裏処方と言われる苓甘姜味辛夏仁湯は、麻黄という主役がいないのに、7人の脇役(伏苓、甘草、乾姜、五味子、細辛、半夏、杏仁)で頑張っています。この脇役の中でも甘草乾姜湯(甘草+乾姜)が冷えと水毒を治すとして重要と思われています。
小青竜湯にも実は含まれていますね。人参湯にも含まれています。苓桂朮甘湯の乾姜ではなく生姜ですが、最後にこれを追加して相当軽快しました。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。