【症例集】つわりに小半夏加茯苓湯が無効・やっぱり点滴&入院
- 2019.09.14
- 漢方処方119番

症例
20歳代 産婦人科の女医さん
自分自身が妊娠し、つわりに苦しむ。漢方にも興味があり、小半夏加茯苓湯を試す。
小半夏加茯苓湯のエキス剤をお湯に入れ、電子レンジで完全に溶かす。
そして冷蔵庫で冷やし、頻回に内服した。
吐きながらも少量の内服を繰り返すも、無効。
結局は入院で禁食、点滴で対処した。
解説
点滴という医療手段がない時代、なんとかつわりを改善しようといして使用した漢方薬の代表選手が小半夏加茯苓湯でした。現代西洋医学を学んだ産婦人科の先生が、そして漢方に興味がある女医さんが自分自身に使用してくれましたが、無効だったようですね。点滴入院という治療手段があるのですから、それを選べばいいのですね。
一方で、ご主人が漢方に興味がある医師で、奥様のつわりに小半夏加茯苓湯を処方して著効しました。感謝された例ですね。漢方の打率は西洋医学の処方に比べてどんなに努力をしても高くはないと僕は思っています。その欠点を処方を変えること、処方に診断させることで補っていると思っています。
漢方に興味を持ち始めた先生方に、まず著効例に当たって頂くと興味も増でしょうし、著効例になかなか当たらないときはむしろ漢方嫌いになるのではと思っています。この辺が漢方の普及が今一歩であるということなのでしょうか。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。