【症例集】しびれ 歩行困難 牛車腎気丸+附子 「まだ効かないよ 先生」
- 2019.09.08
- 漢方処方119番

症例
60歳代 男性
糖尿病 透析 典型的な糖尿病性神経障害を訴える。
なんとなく強面の人で、ちょっと取っつきにくい。
「先生、足の裏がしびれる。透析の先生はまったく相手にしてくれないので、漢方でいいから治してくれ。」
(なんか感じが悪いな。嫌だな。) フローチャートに従って、
牛車腎気丸を処方
(再診時)
「先生、まったく効かない。」
「少しも良いことないですか。スカッと効くことは少ないので、何となくでも良ければ継続したいのですが・・・・」
「まったくダメだ。」
「では今日から附子という薬を併用しますね。トリカブトを減毒したものです。1日1グラムから4週間ごとに増量して行きます。2,3,4、5、6グラムと。」
(その後、附子の量が3グラムとなって)
「先生、突然、すかっと効いた。附子3グラムで効いた。すごい。」
強面だった人が、妙に優しいいい人になった。病気で強面となっていたんだな。見てくれで嫌な人だと思ってしまって申し訳ない気持ち。
解説
附子が使えるようになって、僕の漢方薬での治療は効果が増強しました。守備範囲が広がりました。是非、附子の使用に慣れてください。最初は、怖々1日量で1グラム、4週間毎に増量すれば安心です。下痢、ムカムカ、ドキドキ、発汗、舌のしびれなどを訴えれば減量すればいいのです。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。