【症例集】「どれがききましたか??」 複数処方し、本人自身に選ばせることもあり
- 2019.08.24
- 漢方処方119番

症例
30代 エリートサラリーマン 男性
最近、仕事が忙しく、ストレスがある。でも夜眠れなくて困ると言って来院。
「西洋薬の睡眠導入剤は試していないのですか?」
「漢方から試してみたくて来院しました」
「なかなか仕事の合間に外来に来ることは大変でしょうね。」
「できれば、長く処方して頂けるとありがたいです。」
「では、漢方薬を3種類処方します。どれかひとつを毎食前に飲んでください。そして夜寝付けないときや、途中で目が覚めて再度眠らないときなどは頓服としても飲んでください。」
「2週間ごとに試して、どれが有効かを6週間前後の再診のときに教えてください。」
加味帰脾湯、抑肝散、黄連解毒湯をそれぞれ2週間毎食前に投与。
頓服で飲んでもよいと処方箋に加筆
解説
もしも西洋医学的入眠剤をすでに飲んでいれば、それは続行です。西洋医学的入眠剤を止めて、漢方薬だけで頑張ると、漢方薬が有効かどうかが釈然としません。もしも飲んでいないときは判断がしやすいですね。そして、不思議なことに毎食前に内服する方法も、頓服で不眠時に内服する方法もともに有効なことがあります。
そこで上記のように説明しています。加味帰脾湯は参耆剤ですので元気も出したくて眠れないとき、抑肝散は攻撃的な気持ちが高ぶって眠れないとき、黄連解毒湯は頭がさえすぎて眠れないときなどをヒントに選んでいますが、忙しい患者さんにはこのように、複数処方して自分でその効果を判断してもらうことも良い方法と思っています。
僕自身も不眠となることがあります。そんなとき、僕は上記3種類のどの漢方薬を頓服で内服してもよく眠れます。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。