【症例集】「まず、良くなったことを見つけてくださいね」 加味逍遥散を処方しながら
- 2019.08.22
- 漢方処方119番

目次
症例
70歳代 女性 自律神経失調症
典型的な加味逍遥散タイプ
初診時からいろいろなことを訴える。ほとんど笑わない。
小さな字でメモを書いてくる
適度な距離においてある患者用椅子を、医師の方に近づける
遙か昔からの経過を延々と、ゆっくり説明する。
そして的を得ない
加味逍遥散を処方する
(再診時)
なんとなく笑顔ある
しかし、良くなっているとは一言も言わず、また不平不満を並べる。
「いくらでもお話は伺いますよ。でも、まず困る順に並べてもらえますか」
そして加味逍遥散を継続
(再診時)
笑顔があるようだが・・・・
順番に困っていることを言う 微妙に順番が異なる。
でも、やっぱり聴く方も結構疲れる。
「いつもいつも不平不満から始まるから、つぎはひとつは少しでも良くなったことから言い始めてください」
こんなルールを決めてから、すこしでも良くなったことを見つけて、そして不満を並べる。でも笑顔の量はますます増える
看護師が「あんなに普通のご婦人だったんですね」
よかった。よかった。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。