【症例集】いぼ痔に乙字湯 でも下痢で痔が悪化 桂枝茯苓丸との加減で
- 2019.08.12
- 漢方処方119番

症例
56歳 男性 いぼ痔
いぼ痔の病名投与漢方薬は乙字湯です。そこで乙字湯を4週間処方しました。
再診時
「先生、あれを飲むと便が緩くなって、下痢のようになって、いぼ痔がかえって悪化して・・・・」
「便が頻回だと、いぼ痔は悪化しますね。今日から桂枝茯苓丸という漢方薬を処方します。これでは通常便が緩くなりません。もしも反対に便秘になると、硬い便が肛門を通ると、また悪化します。便秘の時は前回出した乙字湯と今回の桂枝茯苓丸を半々で飲んでみてください」
以後次第にいぼ痔が軽快する。
解説
大黄が入ってる漢方薬は要注意です。大黄は便を軟らかくします。下痢となることもあります。大黄が含まれる漢方薬では下痢を起こしやすくなることを確認することが必要ですね。いぼ痔は、特に便秘で硬い便が出ても悪化しますし、下痢で便が頻回となっても悪化します。桂枝茯苓丸もいぼ痔に有効でこちらは大黄を含んでいません。ちょうどいい便通となるように桂枝茯苓丸と乙字湯の量を加減するといぼ痔は結構よくなります。僕の手術をしてもらおうと思っていたいぼ痔も桂枝茯苓丸でよくなりました。以前はポステリザン軟膏が必需品でしたが、今はどこにも用意してありません。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。