【症例集】過敏性腸症候群にイリボー(西洋薬)「あの漢方薬効きますね!」
- 2019.08.09
- 漢方処方119番

症例
50代 男性 過敏性腸症候群?
「ストレスが溜まると下痢します」を主訴に来院。腹痛や発熱はなく、常に下痢に悩まされていた。炎症性腸疾患・腫瘍性病変の鑑別のため、消化器内科の先生に胃・大腸の内視鏡検査と治療を依頼した。結果は「異常なし」。当方は下痢型の過敏性腸症候群を疑い桂枝加芍薬湯 を処方した。
(2週間後再診時)
全く改善なかったため、イリボー(ラモセトロン塩酸塩)を処方した。
(1週間後再診時)
「先生、あのイリボーって漢方薬のほうは最高だね。はじめの漢方薬より全然いいよ!」
小池洋介先生症例より
解説
僕たちは西洋医です。西洋医学の補完医療として保険適当漢方エキス剤を使用する立ち位置をモダン漢方としています。西洋医にはわかりやすく、明快な立ち位置と考えています。僕たち臨床医は患者さんに良くなってもらいたいのです。西洋医学で効かないときに漢方を使用するのであって、その逆に、漢方で効かないときに西洋医学を使うことも当然にオーケーですね。この例のようにイリボーを漢方薬と思ってくれた患者さんもありがたいですが、微笑ましい光景が目に浮かびます。同僚である小池洋介先生の貴重な面白い症例です。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。