【症例集】麦門冬湯で音大の声楽科に合格?
- 2019.07.24
- 漢方処方119番

症例
18歳 女性
芸大の声楽科を目指している高校生。
声楽のレッスンをたくさんこなすと、どうも喉に違和感があると。
試しに麦門冬湯を処方すると、とてもなめらかに声がでるようになったと喜ばれる。適当に飲んでいいと言って、頓服的に麦門冬湯を渡し、なんとなく喉が変なときに飲んでもらう。その後、喉の違和感がある度に内服。
そして、無事に希望の国立大学の声楽科に入学
解説
麦門冬湯は滋潤剤です。潤いをつけます。咳や痰があるひとに処方すると、かえって痰が出すぎて困ると言われることもあります。一方で、声帯の違和感なのでしょうか、声楽の練習をたくさん行って、なんとなく変な感じがするときに著効しました。
僕は勝手に、声帯に潤いがもどったのではと合点しています。腸にも潤いがましますので、麦門冬湯の内服で便通が良くなることは経験します。アナウンサーで声の出がいまいちという人に使用しても結構効果がありました。漢方薬の全身への効果から類推して、困っている患者さんなどに処方してみることは、とても勉強になりますね。そしてうまくいけば、患者さんからは喜ばれますし、こちらの貴重な体験ができてたのしいですね。
一方でCPAPをしているひとに麦門冬湯を処方して、痰がたくさん出て、陽圧呼吸で推されて、痰が貯まって不愉快な思いをしたとお叱りを受けたこともあります。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。