【症例集】「冷えが治り、妊娠しました」 それで漢方薬の続行は?

【症例集】「冷えが治り、妊娠しました」  それで漢方薬の続行は?

症例

30歳代 女性

冷え症にて以前より当帰四逆加呉茱萸生姜湯を内服中

「先生、妊娠しました。実は子供ができなくて心配していたのです。冷え症が治ったから妊娠したのでしょうか?」

「詳細はわかりませんが、妊娠おめでとうございます。」

「漢方薬を飲み続けていていいですか。」

「保険適応漢方エキス剤で流産した報告はありませんが、せっかく妊娠したのですから要注意ですよね。漢方を飲むのであれば当帰芍薬散という流産防止の効果もある漢方がいいのではないでしょうか。一方で、まったく漢方薬を含めてお薬は止めるという選択肢もありですよ。」

「では、当帰芍薬散を飲みたいです。」

解説

長い長い漢方の歴史で、母胎に安全な堕胎薬はないそうです。生薬レベルでは流産の危険が記載されているものがあります。しかし、それらをたくさん飲んで流産できるのであれば、闇サイトで手に入りそうですが、そんな噂を聞いたこともありません。

一方で、保険適応漢方エキス剤で流産・早産したという報告はありません。では100%安全でしょうか。それはわかりません。西洋薬剤でも本当の安全性は世代を超えないとわからないと言われています。僕はすべて口から入るものは危険な可能性があると思っています。

必要性が上回れば食べていいのではという考えです。ですから、当帰芍薬散の流産防止効果を信じて飲むという方法もありですし、子供への影響がわずかでも心配であれば何も飲まないという選択肢も正しいですね。

患者さんと医師の考え方次第です。なにが正しいかはわからないのですね。今正しいことをする、自分が自分の家族がしてもらいたいことをする、それしかできないのが医療と思っています。