【症例集】「何故、足すと効かなくなることがあるの?」

【症例集】「何故、足すと効かなくなることがあるの?」

症例

70歳代 女性

腰痛と下肢痛で受診。整形外科は通院中。

まず当帰四逆加呉茱萸生姜湯を4週間処方すると、「少しいいかな」と。

次に、牛車腎気丸を処方すると、「これも少しいいかな」と。

「先生、両方一緒に飲んだらダメですか?」

「試してみましょう。でも漢方薬は両方飲むと効かなくなることがあります。ふたつ一緒に飲んでそれぞれ単独よりも有効かを教えてください。」

「先生、なんで一緒に飲むと効かなくなることがあるんですか?」

「漢方薬は食事の延長です。美味しいカレーと美味しいラーメンがあるとしますね。それを一緒にすると、とっても美味しいカレーラーメンになるか、まずいカレーラーメンになるかはわかりませんね。そんなイメージです。」

(再診時)

「先生、両方飲んだ方がいいようです。」

そして数ヶ月飲んで相当軽快する。

解説

腰痛、坐骨神経痛、間欠性跛行などには疎経活血湯、牛車腎気丸、当帰四逆加呉茱萸生姜湯のどれかが結構有効です。そうであれば、最初から3つ処方して、3種類を一緒に飲んでもらえば簡単な気がします。

ところがこれがNGです。まず、漢方薬は生薬数が増えれば増えるほど効きが悪くなると言われています。必ずそうなるということではなく、そういう可能性があるということです。ですから遠回りの様でも1剤から始めて、有効である漢方、無効である漢方を確かめて、そして有効な漢方薬同士を併用することが肝要です。

ここで有効な漢方薬同士を併用しても効果が減弱することがあると気に留めておくことが大切です。漢方薬は生薬の足し算の叡智ですので、当然と言えば当然ですね。患者さんに何故と問われると、上記のようにカレーラーメン作戦を展開して説明しています。