【症例集】 全部一緒に治すのは無理「何が一番困りますか?」と聞こう

【症例集】  全部一緒に治すのは無理「何が一番困りますか?」と聞こう

症例

60歳代 男性

「困ることと言えば、頻尿、花粉症、腰痛、めまい、胃もたれでしょうか。」

「漢方薬でどれも良くなる可能性がありますが、まずどれが一番困りますか?」

「そう尋ねられると・・・、頻尿でしょうか」

「大便は我慢できますが、小便はしたくなるともう我慢が出来ません」

「漢方薬はたくさん処方すると効きが悪くなるので、まず牛車腎気丸という漢方薬を飲んでください」

(6ヶ月して)

「先生、夜間頻尿はそこそこよくなりました。昼間の小便の我慢もだいぶできるようになりました。驚いたことに花粉症ほぼなくなりました。腰痛やめまいも調子良いです。」

解説

患者さんに、「何か困っていることはありますか?」と尋ねるとたくさんの困っていることを羅列する人がいます。それぞれにフローチャート的に処方可能です。たとえばこの症例で、頻尿には牛車腎気丸、花粉症は小青竜湯、腰痛は疎経活血湯、めまいは釣藤散、胃もたれには半夏瀉心湯といった具合です。そこで「ではすべてを治すように5種類の漢方薬を処方してみますね」とすることは間違いです。漢方は多数処方すると効きが悪くなります。

相性の良い漢方薬の2から3種類の併用はまだ許容範囲ですが、5種類を飲むと言うことはありません。そこで「何が一番困りますか?」と尋ねかえして、一番困る症状に対する漢方薬を処方することが理にかなっていますし、勉強になります。この例では、牛車腎気丸を処方して、胃もたれ以外の頻尿、花粉症、腰痛、めまいの4つの症状が軽快することを経験しました。最初から5種類処方したのでは、もしも効果が減弱しないと仮定してもどれが効いたかまったく検討がつきませんね。