しびれるときの対処法【漢方医が解説】

しびれるときの対処法【漢方医が解説】

腕や足がじんじんとしびれる…。何かわからないと、不安になりますね。しびれはどのような原因でおこるのか、また対策として有効な漢方薬もご紹介します。

この記事では、しびれを大きく3つに分けてご紹介します。

しびれの原因が明らかなとき

しびれの原因が明らかなときはその原因を除去することを考えます。正座でしびれるときは、組織の血流障害ですから、一瞬でも血液が十分に流れる状態を作ると楽になります。正座の途中でもじもじするとか、つま先立ちをするとか、ちょっと横座りをするとかは、血流を短い時間でもいいので改善することが理由です。

また、正座するときに背筋を伸ばして、少々前傾姿勢で座ると、猫背で重心が後ろに掛かっているよりも長時間の正座が可能になります。いろいろと工夫をすればいいのです。

神経性の構造的な病気

医学的に器質的な病気があるときはその除去を試みます。器質的とは構造上の問題という意味です。

例えば、正中神経麻痺を生じる手根管症候群では圧迫の原因となっている靱帯を緩めます。尺骨神経麻痺を生じる肘部管症候群でも圧迫の原因を除去します。胸郭出口症候群のしびれも、神経を圧迫している場所の除圧を行います。多くは第一肋骨の切除が行われます。脊髄の障害である頸椎症性神経根症や頸椎症性脊髄障害でもしびれがひどければ、その圧迫部位の除圧を行います。

脳の病変によるしびれ

脳の病変によるしびれでは、重大な病気の前兆であることが多いので、しびれの治療よりもその治療に重点が置かれます。西洋医学的検査をして、器質的病変がないときや、すでに原因が判明しているがその治療を行う御利益が少ないときは、手術的治療以外が選択されます。御利益が多いか少ないかは、手術が必要なときは局所麻酔でできるのか、全員麻酔が必要なのか、また成功率は100%近いのか、五分五分なのかなどを判断材料にして、得られるプラスの要因と、負担となるマイナスの要因を比較して決めるのです。

手術を選ばないで、しびれに悩まされているときは他の治療が選択されます。神経や神経節を麻酔薬でブロックする方法なども選択されますが、基本は内服薬の選択になります。しびれの受容体は体性感覚の受容体で、特異的なしびれ受容体はなく、触覚、圧覚、痛覚、温覚、冷覚などを総合したものがしびれとして脳で認識されるのです。すると薬剤を使用しないと対処ができないようなしびれは、慢性疼痛としてまず治療されることが多いのです。西洋医学的にはロキソニンやボルタレンなどが代表薬であるNsaids、またはカロナールが代表役であるアセトアミノフェンという古典的な薬剤がまず使用されますが、これらがしびれに有効なことは稀です。

そして最近発売された痛みの薬剤であるリリカという商品名で知られているプレバカインやトラマドール塩酸塩とアセトアミノフェンの合剤であるトラムセットも使用されますが、こちらもしびれに有効なことは多くはありません。

しびれに対して有効な漢方薬

西洋薬はほぼ全てが化学合成された薬剤で、作用部位も科学的に判明しています。つまり論理的に治療部位が判明しているときには、特に効果的です。しかし、簡単な治療で改善しないしびれは西洋医学的にもピンポイントで原因と特定できないのです。そんな時には複数の生薬の足し算である漢方薬が効果を発揮することがあります。

まず痛みに有効な漢方薬は麻黄(まおう)や附子(ぶし)を含んでいることが多いのです。慢性の痛みに附子含有漢方薬でかつ朝鮮人参と黄耆(おうぎ)を含む参耆剤である大防風湯が使用されます。慢性のしびれにも大防風場は使用されます。附子含有漢方薬は大防風湯の他に、真武湯、麻黄附子細辛湯、桂枝加朮附湯、八味地黄丸、牛車腎気丸などもあります。どれも頑固なしびれには一度はトライする価値はあります。抗がん剤によるしびれには牛車腎気丸に附子を増量することが効果的です。

しびれは神経の慢性の炎症でも生じるのでしょうから慢性の炎症に有効な柴胡剤も選択肢になります。小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡加桂枝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝乾姜湯などがまず候補になります。タキサン系抗がん剤のしびれには柴胡剤の長期投与が有効なことがあります。
不定愁訴や更年期障害に伴うしびれには加味逍遥散です。これは他の治療の選択肢があっても、ファーストチョイスとしてまず使用してみる価値があるほど有効です。
その時の立ち位置は、しびれを完全に治そうとは最初から思わずに、まずは現状の半分ぐらいの辛さとなることを目標にする、その程度を改善目標にするほうが上手く行きます。慢性のしびれで苦労している患者さんには、完璧な状態、しびれがゼロになる状態を最初からめざす人がいますが、その姿勢は患者さんも医療サイドともに不幸にすると思っています。

しびれの症状別、オススメ漢方薬

三叉神経痛のしびれ  → 五苓散(ごれいさん)
帯状疱疹のしびれ → 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
プラチナ系抗がん剤によるしびれ → 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)+附子増量
タキサン系抗がん剤のしびれ → 小柴胡湯(しょうさいことう)
更年期障害によるしびれ → 加味逍遥散(かみしょうようさん)
自律神経失調症によるしびれ → 加味逍遥散
膠原病によるしびれ → 大防風場(だいぼうふうとう)
舌のしびれ → 真武湯(しんぶとう)
手根管症候群によるしびれ → 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)