変形性膝関節症のときにまず試したい漢方薬と、加えたいものは【漢方医が解説】
- 2018.12.21
- 漢方処方119番

変形性膝関節症は、中年以降の方に多く発生するヒザのトラブルです。長年の酷使や歩き方のくせ、加齢による軟骨成分の減少などで起こると考えられています。
外来で見ると、「少しお痩せになった方が…」と思う方もいらっしゃいます。実はそのような方の多くは「水太り」なのです。ですから本人がそのように願っていても、なかなかうまくお痩せになることができません。そこで漢方薬の助けを借りて、水分調整しやすい体質になることをまずおすすめしています。
今回は変形性膝関節症を、体質改善からアプローチする漢方薬についてお伝えします。
どんな変形性膝関節症にも
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)です。まずはこれを1包×3/日を4週間ごと服用します。体質改善を目指します。
じつはこれだけではあまり効果が感じられないかもしれません。準備段階のようなものです。全く変化がなければ次項のお薬を試してみてください。
効果がないときは
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を半分量、1日2回加えます。越婢加朮湯は、麻黄剤です。熱や痛みをとる成分。これが膝の痛み、炎症に効果的に作用します。防已黄耆湯と越婢加朮湯のコンビネーションで効果を感じられる方が大勢います。
実は麻黄剤は、胃腸の弱い方は飲めない場合があります。まずは飲んでみて合うか合わないかチェックします。効果を感じれば継続です。
まとめ
上記の越婢加朮湯を「半分量」使用する方法は、胃腸が弱い方を考え、量を抑えたものです。それで様子を見ていき、徐々に増量し、最終的には1包×3/日を食前に防已黄耆湯とともにとれるようになると安心です。
またはムカムカするようなら中止(減量)しようと決めて、最初から1包×2〜3/日で始めるのもいいでしょう。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。