気管支喘息?咳の原因は豊富!効果的な漢方薬は【症状別に解説】

気管支喘息?咳の原因は豊富!効果的な漢方薬は【症状別に解説】

咳は奥が深いのですよ。西洋医学で治らない訴えをたくさん治療してきました。咳が長引くときは、すでに西洋医を受診していても、心配な場合は、もう一カ所、別の呼吸器専門医の受診を勧めます。それぐらい、専門医でも診断に迷うことがあるのです。

急性で絶対に受診するべき咳がある

基本は数週間で収まる咳は問題ありません。咳で緊急を要する疾患は、急性喉頭蓋炎です。急性喉頭蓋炎は、咳と言うよりも、嚥下時痛で、次第に発熱し、激しい喉の痛み、首の痛みが出現します。唾液も飲み込めなくなり、口に唾液が溜まります。そして気道が閉塞すると死に至ってしまいます。咳や痰が随伴することもあります。咳という訴えとは無関係に思えますが、患者さんは咳として認識することもあり、こんな怖い疾患が存在するということを覚えておくことは医療従事者としては大切なことです。患者さんとしては、通常とは異なる異常な状態は常に救急外来を受診してください。遠慮する必要はありません。朝まで待っては危険です。

気管支喘息の発作もいつもと違う重いものは危険

また、気管支喘息の重責発作も急いで救急外来を受診する必要があります。これも患者さんサイドからすれば、いつもの気管支喘息の発作とは異なり、明らかに重症感があります。気管支喘息は年間に1500人前後が死亡している病気です。1995年には約7000人が死亡していましたが、吸入ステロイドの普及で死亡数は減少していると言われています。しかし、死亡する人が未だに年間1000人以上いる病気なのです。決して侮らないで下さい。気管支喘息は咳を随伴します。また咳だけで通院して、実は気管支喘息のこともあります。気管支喘息は発作時は気道狭窄のヒューヒューと言った喘鳴を聴取しますので、医療従事者であれば簡単に診断ができそうです。しかし、そんな気管支喘息の発作は、多くは副交感神経が優位となる明け方に起こります。副交感神経はリラックス神経で、交感神経が気道を広げる作用があることに相反する作用になります。ですから、診察時に発作が起きていないと、気管支喘息を疑わないことが起こりえるのです。気管支喘息が可逆的な気道閉塞を引き起こすのに対して、後述するCOPDは永続的な気道閉塞が基本です。気道閉塞はスパイロメーターという器械で、息を思いっきり吸ってから、一気に吐き出す経過を記録します。そして吐き出された空気量と、1秒間で吐き出された空気量を比べて、後者が70%未満であると、気管支喘息やCOPDを疑うのです。気管支喘息が可逆的な気道閉塞なので、気管支喘息と診断されていない状態で、咳が続いていることは、実は臨床では有り得るのです。

咳だけが続く「咳喘息」とは

咳喘息は、気管支喘息の発作時のようにゼーゼーという喘鳴や呼吸困難を伴わずに、咳だけを唯一の症状とする病気です。咳喘息は気管支喘息とは別のものとして考えましょう。しかし、最近は咳喘息の1/3が気管支喘息に移行するとも言われています。8週間以上続く咳の原因として咳喘息は重要です。

咳喘息はまだまだ統一されていない病態です。治療には気管支喘息と同様に吸入ステロイドを使用します。僕の理解は風邪と同じように除外診断です。風邪は上気道症状を引き起こす病態で風邪以外の病気を除外したものです。つまりいろいろな病気を除外して、そして風邪の経過で治ったものが風邪なのです。つまり治ってはじめて風邪と判明します。咳喘息の僕の理解も同様です。咳喘息は、慢性の咳を引き起こす病態で咳喘息以外の病気を除外したものなのです。以下に除外すべき咳の原因を解説します。

咳喘息の診断で除外すべき各種疾患

肺癌は咳で受診して、見落としてはいけない病気のひとつです。肺癌の診断は胸部CT検査で行います。簡便な胸部X線写真では写らない肺癌はたくさんあります。一方で、CT検査で写らない肺癌は今の医療では致し方ないとも言えます。それほどCT検査は肺癌検査の王道なのです。消化管の検査ではありませんので食事の制限も不要で、造影剤も通常は使用する必要がありません。よって、前処置が全く不要で、CT検査を行えばいいのです。通常は10分前後で終了します。

肺結核も咳を訴える患者さんで見逃してはならない疾患のひとつです。ストレプトマイシンの登場で昔のような不治の病という印象は払拭されました。しかし、未だに結核は存在します。高齢者や都市部に発生します。肺結核の患者数は約3万人と言われています。胸部X線検査で疑い、そして痰の検査で確定します。

マイコプラズマ肺炎は長引く咳で受診します。万が一見逃しても、命に別状があることは稀です。比較的多くの方が罹患しているのがマイコプラズマ肺炎で、マイコプラズマという細菌の一種が引き起こす疾患です。重要なことは、通常の細菌感染に使用されるペニシリン系抗生物質やセフェム系抗生物質は無効です。そんな理由で長引くことがあるのです。マイコプラズマに有効な抗生剤はマクロライド系抗生物質やテトラサイクリン系抗生物質です。咳が長引くときは、マイコプラズマ肺炎を疑って、そして胸部X線検査を撮り、マクロライド系抗生物質やテトラサイクリン系抗生物質を内服すると軽快します。

百日咳は名前が示すように咳が長く続く病気です。乳児では重症化することがありますが、成人で重症化することは稀です。ワクチンで予防可能な病気ですが、未だに感染数が1万人前後もいます。日本では3種混合ワクチンとして百日咳とジフテリア、破傷風ワクチンの接種が行われていました。最近は3種混合ワクチンに加えてポリオワクチンを含めた4種混合ワクチンが行われています。

クラミジア肺炎も咳を訴える病気のひとつです。性感染症で有名なクラミジアですが、性感染症の病原菌とは別のクラミジアです。肺炎を引き起こすクラミジアはクラミジアニューモニエで、性感染症を引き起こすクラミジアはクラミジアトリコマチスです。マクロライド系抗生物質やテトラサイクリン系抗生物質がクラミジア肺炎には有効です。基本的に命に関わることは稀です。

薬剤性肺炎でも咳を訴えます。薬剤性肺炎は間質性肺炎の病状を示すことが多いのです。間質性肺炎とは、肺そのものの炎症です。通常の細菌性肺炎やウイルス性肺炎は肺という空気の入れ物の中に炎症が生じます。勿論その炎症が肺自体に波及します。しかし、間質性肺炎は最初から肺という入れ物に炎症が生じるのです。細菌やウイルスという病原菌による炎症ではなく、薬剤により直接肺が損傷される炎症です。

薬剤による咳もあります。薬剤が間質性肺炎を生じて咳を誘発するのではなく、薬剤が直接咳を誘導します。最も有名な咳を誘発する薬剤は高血圧のくすりであるアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)による咳です。これは、ACE阻害剤を止めると咳は止まりますので、そんな病態を知っていて、かつ投薬を中止すれば解決します。

感染後咳嗽(かんせんごがいそう)は字の如く感染は収まったのに咳だけ残るパターンです。咳喘息とも似ていますが、明らかな感染徴候があったときに感染後咳嗽と呼ばれます。これは例えば、頻尿を呈する細菌性膀胱炎が治っても、つまり尿には細菌や白血球が認められなくなっても、ながく頻尿を呈することがあります。これは無菌性膀胱炎とも間質性膀胱炎とも呼ばれています。そんな膀胱の病態と、感染後咳嗽は似ていると僕は思っています。

喫煙は咳を誘発する原因になります。禁煙して咳が治まれば喫煙による咳と断定できます。できればタバコは止めた方がいろいろと御利益があると思っています。

逆流性食道炎では胃酸が食道を逆流し、気道に流れ込んで咳き込むのです。夜中に横になって咳き込むことが多いのです。肺の病気ではないのに、咳き込みます。そして過食を禁じて、食後直ぐに横にならないように心がけて、胃酸の酸度を押さえる薬剤を飲むなどの対処方法があります。

後鼻漏は、副鼻腔炎などで膿汁が鼻腔から喉に落ち込み、それが気道に流れ込んで咳き込むのです。これも副鼻腔炎を治療すると咳が治りますので、診断的治療で原因が判明します。

COPD昔の慢性気管支炎と肺気腫をひとつにした概念です。気道閉塞を生じます。原因は基本的に喫煙です。喘息と似た病態ですが、喘息はアレルギー反応が亢進して気道狭窄を呈しますが、発作時以外には気道は狭窄していません。一方でCOPDは常時気道が狭窄しています。

「咳」に使える漢方薬とそうでないもの

さて、漢方薬はいろいろと有効です。

気管支喘息には柴朴湯(さいぼくとう)を使用します。もちろん西洋薬と併用です。柴朴湯は小柴胡湯と半夏厚朴湯を一緒にしたものです。小柴胡湯(しょうさいことう)は炎症の防止、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は喉の違和感の軽減に有効です。半夏厚朴湯だけでも喘息発作が軽減することがあります。

昔は、麻黄剤で気管支喘息に対応しました。エフェドリンを含む麻黄の交感神経刺激作用に期待したのです。しかし、吸入ステロイドが普及した現在、麻黄剤を気管支喘息治療の主目的で使用することは間違いです。

急性喉頭蓋炎に有効な漢方薬はありません。

咳喘息は怖い疾患を除外した病態にて漢方の出番はたくさんあります。基本は小柴胡湯と麻杏甘石湯を一緒に飲みます。小柴胡湯は炎症を抑え、麻杏甘石湯は咳発作を抑えます。是非、西洋薬剤と併用で試して下さい。また、痰がこびりついて咳を誘発するときには麦門冬湯が有効です。

肺癌に有効な漢方薬はありません。しかし、肺癌、転移性肺癌、胸膜中皮腫の患者さんには人参養栄湯を出します。気力体力が増すことが最大の理由です。漢方だけでがんを治せるという意見にはまったく賛成できません。

肺結核にも漢方は無効です。漢方が有効なら、明治時代たくさんの若者が命を落とす訳がありません。正岡子規、石川啄木、高杉晋作、樋口一葉、滝廉太郎、小村寿太郎、竹久夢二、などなどが命を落とす訳がありません。ストレプトマイシンの登場で結核の治療は格段の進歩を遂げました。しかし、結核を西洋医学でしっかりと加療しながら、漢方を使用することは有益です。僕は人参養栄湯を処方しています。

マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎、百日咳に漢方は無効です。咳の軽減には小柴胡湯+麻杏甘石湯です。痰がへばりついて困る時は麦門冬湯です。

喫煙をヤメさせる漢方はありません。

逆流性食道炎にも漢方は無効ですが、西洋剤と併用で六君子湯を使用します。

後鼻漏を引き起こす副鼻腔炎には辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)や葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)が有効なことがあります。

COPDに有効な漢方薬はありません。しかし、有効な西洋薬もないので、気力体力を増すために人参養栄湯を使用します。清肺湯で気持ち良く痰が出る人もいます。

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