整形外科的疾患の痛み止めに使える漢方薬とは【漢方医が解説】

整形外科的疾患の痛み止めに使える漢方薬とは【漢方医が解説】

捻挫、脱臼、骨折、肉離れ…。その他にも外反母趾やファットパッド症候群など整形外科的疾患は枚挙にいとまがありません。そしてほとんどが強い痛みを伴います。

西洋医学ではさまざまな痛み止めがあります。アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、フェルビナク、ジクロフェナクなどです。これらはステロイド剤ではないので比較的よく処方されます。総称して非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)といいます。

痛み止めは漢方薬にもあります。前記したNSAIDsの効果がイマイチだな、と感じたり、もう少し緩和したい場合に併用すると効果があげられる可能性があります。今回はそのようなときに使えるお薬をご紹介します。

ふだん元気な方の痛み止めには

漢方薬で痛み止めといえば麻黄が含まれるものになります。スポーツ選手の痛み止めには、NSAIDsに加えて越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を処方しています。私自身効果を感じるのですが、麻黄に含まれるエフェドリンがドーピング検査にふれますのでどのような試合に出るのかよく見極めてから処方します。痛みが緩和するまで、3包/1日を1〜4週間ごと服用します。

このような麻黄剤は、普段元気な方でないと飲んだときに胃がムカムカすることがあります。また動悸に近いドキドキとした状態になることもあります。同じ麻黄剤の薏苡仁湯(よくいにんとう)が使えることもあります。こちらもドーピングには注意です。

麻黄湯が使えない方は

普段元気がない方で、越婢加朮湯があわなかったり、ドーピングの件で麻黄剤が使えない方がいます。そのような方には桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)が良いでしょう。これも西洋薬と併用します。3包/1日を4週間ごと服用してください。

※薬剤師・中山今日子先生より

麻黄の入った処方を使いたいけど、麻黄が余計だよという場合、桂枝加朮附湯が重宝します。原因によらず冷えて痛むときには使えるという印象を私は持っています。もとが桂枝湯なので胃に優しいという利点もあり使いやすい処方です。

桂枝加朮附湯に茯苓を足した桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)という処方があります。桂枝加苓朮附湯・桂枝加苓朮附湯は茯苓のあるなしの違いですが、関節痛や神経痛に対してはこの二つの処方に効果の大差はないように感じています。

医療用のエキス製剤では、桂枝加苓朮附湯は錠剤があるので、漢方薬が苦手という方にも飲んでいただけて、処方の幅が広がります。

OTCも桂枝加苓朮附湯は錠剤があります。

参考文献)

長瀬真彦、田中耕一郎、入江祥史:漢方処方保険で使える全種類まるごと解説.中外医学者.2018

弱々しい方で、体力気力も充実させたい方は

長年の関節疾患などで痛みを感じている方も少なくありません。それで弱々しくなってしまっていることもあります。

麻黄剤の入っていない大防風湯(だいぼうふうとう)を西洋薬と併用します。このお薬には体力・気力を増す人参、黄耆が含まれています。3包/1日を4週間ごと服用です。

まとめ・この記事で紹介したお薬

越婢加朮湯が使えない方は桂枝加朮附湯や大防風湯がおすすめです。しかし麻黄剤が入っていないので効き目が穏やかです。長期的に使用することをお考えください。

また、越婢加朮湯が飲めない方でも、薏苡仁湯なら飲める場合があります。ご自身にぴったりな漢方薬を探してください。