むち打ち症・頸椎症に効果的な漢方薬と、加えたいものは【漢方医が解説】
- 2019.01.04
- 漢方処方119番

首のトラブルは不愉快きわまりありません。むち打ち症は固定を強いられて不自由ですし、固定をはずせば痛みが起きたり、長期間、不快な状態に苛まれている人もいます。頸椎症は、首痛はもちろん、頭痛のほかに背中や肩、腕にトラブルを引き起こすこともあります。
やはり、整形外科での診察と治療、投薬が第一選択肢です。それをしないで漢方薬に頼ろうとしても、いきなりは効果が得られないでしょう。まずは現代の治療を受けてください。
そのうえで、「もう少しよくなりたい」と考えられる方がいます。また、整形外科の治療では効果が感じられないこともあります。その場合は「全快」よりも「少しよくなった」を目指したいものです。そんなときに、漢方薬が効果を発揮することがあります。
今回お伝えするお薬を、西洋薬に組みあわせて使ってみてください。うまくいけば、西洋薬を止めることができるかもしれません。
どんなむちうち症や頸椎症にも
葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)です。腫れをひかせ、痛みを減らす作用があります。 葛根加朮附湯がない場合は、葛根湯と桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)を併用して、葛根加朮附湯を作ってしまいましょう。
まずはこれを1包×3/日を4週間ごと服用します。これで効果があったら見つけものです。よくなると信じて飲むことも大事です。
これで効果を感じなかったり、もっとよくなりたいとお考えの方は次項のお薬を追加してみてください。
効果がないときは
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を併用します。桂枝茯苓丸は血行障害を改善するお薬ですので、首回りの痛みがある部分にアプローチして、治りを早くさせる効果があると考えられます。葛根加朮附湯と併用しますが、前述の通り、葛根加朮附湯がない場合は、葛根湯と桂枝加苓朮附湯も組み合わせます。引き続き1包×3/日を4週間ごと服用します。
まとめ
実は、漢方薬は、違うお薬を併用するケースはまれです。それぞれのお薬が完成しているためです。違う生薬が入ってしまうと、本来の効果が得られなくなることがあります。今回のように、3つのお薬を併用することは珍しいのですが、経験では意外と効果があると思っています。
葛根湯には麻黄が入っているのですが、比較的弱々しい方でも長期間服用できます。それでもムカムカするようなら中止してください。
-
前の記事
変形性膝関節症のときにまず試したい漢方薬と、加えたいものは【漢方医が解説】 2018.12.21
-
次の記事
謝辞:生薬の解説について 2019.01.04