【症例集】自分の咳が妙に心配 まさか間質性肺炎かな?
- 2019.07.11
- 漢方処方119番

症例
52歳男性 自験例
8年間、大柴胡湯と桂枝茯苓丸を飲んでいます。体重が減り、後頭部の薄毛が治り、花粉症が楽になり、そしていぼ痔がなくなりました。肩こりが楽になり、熟眠感が増しました。体全体が良くなる快感があるので、飲み続けているのです。
さて、空咳がでるようになりました。結構、長引きます。風邪っぽくもないし。のどがイガイガしていることは間違いないですね。そのためでしょうか。
密かな心配は、柴胡剤による間質性肺炎です。
患者さんには、「何か起これば止めてください」 それだけ注意していればいいですよとお話ししています。この空咳はその何かなのでしょうか。
自分のことだからこそ心配ですね。
この程度の咳で、間質性肺炎を疑うのもちょっとね? とも思います。
でも心配の虫が・・・・・
そしてその咳は7日続きました。悪化も軽快もしません。
さすがに心配になって、大柴胡湯+桂枝茯苓丸 から 桃核承気湯にしました。大黄が入っている駆瘀血剤として桃核承気湯を選んだのです。そして柴胡も黄芩も含まれていません。
桃核承気湯に変更後も、やはり空咳は続きました。
そしてその後2週間して空咳は収まりました。その後、また大柴胡湯+桂枝茯苓丸の内服を再開しました。
解説
自分でもこんなに心配しますね。患者さんに相談されれば、まず漢方はすぐに中止、それが安全ですね。西洋剤とは異なり、通常漢方は止めても命に関わるようなことはないですね。心配ならば止めてみましょう。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。