【症例集】「先生、この漢方薬を試したいのですが?」
- 2019.06.20
- 漢方処方119番

症 例
「先生、この漢方薬を試したいのですが?」
「いろいろと本やネットで勉強して、また自分の経験からこの漢方薬がほしいのですね。特別に間違っているとも思えませんので、まずご希望のものを処方しましょう。それが効かない時は今度は僕が処方するものを飲んで貰えますか?」
解 説
すでに漢方薬をいろいろと飲んでいて、自分のこんな症状にはこの漢方薬が有効であると知っている患者さんでは、ご本人の意見に従えばいいですね。むしろどんなときに、この漢方薬が有効かを患者さんから教えて貰うとこちらの勉強になりますね。一方で、いままで飲んだことはないが、自分で本やネットで勉強して、これを飲んでみたいという患者さんがいます。
にわか漢方ファンのときもありますし、しっかり勉強していることもあります。そんな時に「素人が勉強してもダメ。こちらが処方する漢方を飲め!」と言うことも可能ですが、絶対に患者さんが希望する漢方薬が間違いとは言い切れません。漢方では何でも起こる可能性がありますから。
完全に否定することはむしろ難しいのです。僕はよほど間違っていると思わない限りは患者さんの希望に添って、処方しています。そして次回、無効なときにはこちらの意見を入れてもらうようにしています。患者さんが言うことも結構あたることがありますからね。そして、こちらもいろいろと勉強になりますから。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。