痰を出しやすくするには【漢方医が解説】

痰を出しやすくするには【漢方医が解説】

痰が詰まっているがうまく出すことができず困っている…そのような方に、痰の出し方についてお伝えします。また、痰の役割やメカニズムについても後半解説します。

痰の原因

風邪を引く、気管支炎や肺炎になる、汚い空気を吸い込むなどが痰の原因です。また、日頃歌わないのにカラオケで歌いまくる、大きな声で応援をすると喉頭が痛めつけられますので、喉がいがらっぽくなり、痰がからむこともあります。そして何といても痰の原因は、タバコです。痰の対処ですが、ゴミを肺から除去するための反応ですから、完全に止めてはダメです。しっかりと、出しましょう。

痰を出す方法

痰の出し方について、よくあるものとして、横になって呼吸をしてから肋骨を押しながら咳き込む、というものが多いです。

気持ち良く出すには、十分な水分を取る、そして部屋をしっかり加湿することが大切です。マスクも保湿には有効です。水分が気道に少ないと、痰のねばりけが強くなり、出しにくくなります。

痰を出しやすくする西洋薬にはムコダインがあります。一般名はカルボシステインです。公的医療保険が適用され安価に購入可能ですが、一方で薬局でもOTCとして販売されています。

そして漢方薬です。麦門冬湯(ばくもんどうとう)は痰を出しやすくする薬剤で、味も美味しく飲みやすいです。基本的には1日3回内服しますが、症状により増減OKです。喉が最近渇いて昔のような声が出なくなったと訴えたアナウンサーに効果的でした。また、声楽を専門にする女子には麦門冬湯を飲むととても良い声が出ると賞賛されました。ぼくも講演会で声がかすれる時には飲んでいます。つまり、喉を潤すイメージが麦門冬湯です。腸の粘膜もしっとりするのか、麦門冬湯を飲むと快便になるという人もいます。僕の場合、痰がからんで困る風邪を引いたときに麦門冬湯を飲むと、痰が出やすくなり、そしてティッシュペーパーの量が増えました。痰が喉にからみついて咳が止まらないときには麦門冬湯は著効します。

麦門冬湯のほか、清肺湯(せいはいとう)という漢方薬も痰や咳に有効です。ともに保険適用漢方エキス剤でもあり、OTCとして処方せんなしで薬局での購入も可能です。

痰が長引くときは、一度呼吸器内科を受診してください。それほど急がなくても大丈夫です。

痰はどのようにできるのか

痰は空気の通り道からでる分泌物の塊です。口で呼吸しても、鼻で呼吸しても、どちらも声を出す部分で一緒になります。声を出す装置を声帯と言いますが、声帯を含む喉、男性ではのど仏があるところ、唾を飲み込むと喉で移動する堅い所、それが喉頭です。

喉頭から先は、気管、気管支、細気管支、そして肺に到ります。肺は酸素を体に取り込んで、二酸化炭素を体外に排出する重要な機能があります。それをガス交換とも呼びます。そんなガス交換は細気管支が最後に到る肺胞という風船のような部分で行われます。その肺胞の周りを毛細血管が取り囲んでいるのです。その肺の毛細血管に心臓から血液を送る血管が肺動脈、そして肺の毛細血管から血液を心臓に戻る血管が肺静脈です。肺胞という風船は膜が薄いので、血液は漏れ出ず、しかし酸素や二酸化炭素は出入りできる構造の膜なのです。肺胞まで、十分な量の空気が鼻、または口から入らないとガス交換は出来ません。そのために僕達は呼吸をしています。呼吸をして肺胞の空気を入れ換えているのです。空気は肺の末梢まで吸い込まれないとダメなのです。

空気の中には大きなゴミも小さな塵も、ある時には病原微生物もウイルスも存在する可能性があります。比較的大きなゴミは鼻毛で除去できますが、それ以外は空気と一緒に肺胞までスルーです。そして気管や気管支にそれらが貼り付くこともあります。そんな気道に貯まったゴミを排出するために痰がでるのです。まず、気管や気管支は粘液を常時分泌して表面をコーティングしているのです。つまり表面が粘液でしっとりしています。その粘液を喉頭の方に向かって排出するシステムがあります。気道の細胞、気管や気管支の細胞の気道側には、絨毛という小さな毛が無数に生えていて、それが粘液を喉頭側に常時送っているのです。そんな粘液が必要以上に増えて塊になると、痰として口から排出されます。つまりある程度の痰は生きている証拠です。

ところで痰を道に吐き出だすと軽犯罪法違反です。その第26条には路又は公園、その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、または大小便をし、若しくはこれをさせた者。とあります。ハンカチかティッシュペーパーに出しましょうね。