芍薬甘草湯を毎食前に何年も、の方。僕が処方する場合は、やっぱり心配
- 2019.07.08
- 漢方処方119番

症例
「他の先生から漢方薬もらってますか?」
「はい。これをずっと飲んでますが」
芍薬甘草湯が、それも毎食前に処方されている。
「どれぐらい飲んでいるのですか?」
「一年以上は飲んでます」
「足がむくんだりしませんか。」
「そんなことはないですよ。こむら返りに処方してもらっています。」
解説
こんなときは結構困ります。そして驚きました。
毎食前に、つまり1日3回、甘草の量で6グラムを1年以上にわたって内服しても全く副作用がでないひともいるんだなということを知りました。
自分では行わない処方です。芍薬甘草湯を1日3回以上処方するのであれば7日まで、1日1回であれば1ヶ月以上の処方を可としています。芍薬甘草湯は芍薬と甘草の2種類で構成されています。構成生薬の少ない薬は効果発現は早いが、漫然と処方していると耐性になることが多いのですね。
甘草による偽アルドステロン症は体質に左右され、生じない人はまったく大丈夫ということを知っていましたが、実例をみて確かにそうだと思いました。
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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。