何をしても治らない便秘に有効な漢方薬とは【漢方医が解説】
- 2018.10.29
- 漢方処方119番

年齢、性別問わず、便秘に悩まれている方は多くいらっしゃいます。
初期はお腹の張り、食事量の減少などの症状ですが、悪化すると肌荒れや吐き気、その他病気に繋がってしまうこともあります。基本的には、水分や食物繊維の摂取、運動、睡眠など、生活習慣の改善で解決します。また、便秘薬も多数開発が進んでいます。
しかし、どれだけ生活習慣を見直しても改善しない、薬が身体に合わなかったり、腹痛がおこってしまう。そのような方に、漢方薬治療による便秘改善をおすすめします。
便秘はにきびなどの皮膚疾患にもつながりますので、胃腸の健康は是非とも保っておきたいところです。
便秘の種類とメカニズム
便秘になる人の多くは以下の3種類に分類されます。
◇弛緩性便秘
→運動不足などにより、便を押し出す力が弱くなることで起こる便秘
◇けいれん性便秘
→ストレスなどにより、便を正常に送ることができなくなることが原因で起こる便秘
◇直腸性便秘(ちょくちょうせいべんぴ)
→排便のリズムが崩れることで、カラダが便意を感じなくなることによる便秘
便秘は水分や運動、睡眠不足、さらにストレスなど生活習慣の影響により腸の機能が低下していることが原因と言われています。つまり、便秘を解消するためには腸内環境を整えることがベストなのです。
代表的な便秘薬
便秘薬と言っても、種類がたくさんあります。治療の基本は、「便を軟らかくする薬」、ひどい時には「刺激性下剤」です。
2-1.刺激性下剤
もっとも身近な便秘薬といえば、センナを代表とする刺激性下剤です。
刺激性下剤は、大腸の蠕動(せんどう)運動を促して排便を起こす効果の強い薬です。刺激性下剤は薬局でも売られている薬ですが、作用が非常に強力で、毎日飲むと水のような便になってしまいます。また、依存性が高く、飲む量がどんどん増えるので注意が必要です。
2-2.酸化マグネシウム
古くから使われている薬は、酸化マグネシウム(製品名:マグミットほか)です。この薬は便を軟らかくする効果があります。便が硬い方は、酸化マグネシウムを使用することで便が柔らかくなり、自力で排便ができるようになるケースも多いです。
酸化マグネシウムは、腎機能が低い方や高齢者が長期間使用すると、血中マグネシウム濃度が上がり、高マグネシウム血症になる可能性もあります。そこには注意が必要です。
便秘への漢方薬治療
便秘への漢方薬治療としておすすめの漢方薬をご紹介します。漢方薬による治療の魅力は、排便のコントロール以外にも他の様々な症状が治ることです。
3−1.基本は麻子仁丸(ましにんがん)
便秘には麻子仁丸で決まりです。増量していけば便のコントロールは可能です。通常、就寝前に飲みますが、個人差があるため時期や量は自分で試しながら調節すると良いです。1包×3/日を2週間ですが、1日4包くらいまでは問題ありません。
3−2.もっと出したい時は桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)
若い方などはこちらが気持ち良いとも言われます。身体をあたためる下剤で、麻子仁丸と併用しても良いです。1包×3/日を2週間
3−3.さらにすっきりと出したいのなら大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
すっきりと便を出したい時に。腹痛が生じることもあります。1包×3/日を2週間
3−4.麻子仁丸ですっきり感が足りない時は桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
麻子仁丸で便は出るが、すっきり感が足りないときに有効です。生理前に便秘になる方にも喜ばれます。ただ、最初から桃核承気湯を飲むと排便前に腹痛が強くなることもあります。1包×3/日を2週間
まとめ
・まずは生活習慣の見直し
・下剤が身体に合わない場合は、漢方薬治療
・麻子仁丸が基本、物足りない場合は量や種類の見直しを
今回ご紹介した漢方薬
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