升麻(しょうま)・漢方医による生薬解説44
- 2019.01.06
- 生薬の種類

升麻はキンポウゲ科のサラシナショウマの根茎です。サラシナショウマはわが国にも多く自生していますが、生薬として流通しているものは現在すべて輸入品です。生薬は黒色でゴツゴツとして間隙が多く軽質です。
なお、中国市場には「広升麻」と称されるキク科植物由来の細長い紡錘形で中が充実した升麻もあり、中でも「緑升麻」と称されるものは外面も内面も濃い緑色をしています。また、市場には「赤升麻」と呼ばれるユキノシタ科の Astilbe(トリアシショウマ属)の根茎に由来するものもあり、このものはサラシナショウマの根茎に比してやや小型で淡色です。
第17改正日本薬局方には以下のように記載があります。
- ショウマCimicifuga Rhizome CIMICIFUGAE RHIZOMA升麻
本品はサラシナショウマCimicifuga simplex Turczaninow,Cimicifuga dahurica Maximowicz ,Cimicifuga foetidaLinné 又はCimicifuga heracleifolia Komarov (Ranunculaceae)の根茎である.
升麻が処方名と関係する漢方エキス剤は升麻葛根湯です。

-
前の記事
艾葉(がいよう)・漢方医による生薬解説43 2019.01.06
-
次の記事
地黄(じおう)・漢方医による生薬解説45 2019.01.06
Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。