辛夷(しんい)・漢方医による生薬解説47

辛夷(しんい)・漢方医による生薬解説47

辛夷はモクレン科のコブシです。コブシは北国の春の代名詞のように歌われます。春の訪れとともに、真白い花を咲かせます。その開花は、イモウエバナとかタウチザクラといった別名が示すように、新たな年の農作業を始める目安とされてきました。

第17改正日本薬局方には以下のように記載があります。

  • シンイ Magnolia Flower MAGNOLIAE FLOS 辛夷
    本品はタムシバMagnolia salicifolia Maximowicz,コブシMagnolia kobus De Candolle,Magnolia biondii Pampanini,Magnolia sprengeri Pampanini 又はハクモクレンMagnolia heptapeta Dandy (Magnolia denudataDesrousseaux) (Magnoliaceae)のつぼみである.

コブシとタムシバはよく似ていて、一般にコブシというとタムシバをも含んでいるようですが実は別種です。高木になり山麓や沢筋に多く見られ、がく片の長さが花弁の約5分の1で、花のすぐ下に1枚の緑色の葉があるのがコブシで、一方亜高木で山麓や尾根筋に多く、花弁は6枚、がく片の長さが花弁の約2分の1から3分の1で、花の下に葉のないのがタムシバです。

辛夷は副鼻腔関係の病気には必須の生薬です。

辛夷が処方名と関係する漢方エキス剤は辛夷清肺湯、葛根湯加川芎辛夷などです。

【追記】薬剤師・中山今日子先生より

節分になると、春の息吹が感じられるようになってきます。いつも植物はすごいな~と思う
時期です。雪が積もっていてところから、緑の新芽が出てくるのは、本当に生命のチカラを
感じます。

30年ほど前住んでいた場所、私のお部屋は2階ですが、窓の外に大きな白木蓮(ハクモクレ
ン)の木がありました。白い大きな花が咲くとのんびり眺めているのが大好きでした。節分
のころは、蕾が空に向かって伸びてきます。このおくるみのようなもこもこした温かそうな
蕾は本当にかわいらしいです。春の日差しの中でうぶげがキラキラしています。このぬくも
りの中で春が生まれるのかなと思うとワクワクします。こぶしも同じようなふわふわした蕾
をつけます。
紫の花が木蓮、こぶしと白木蓮の花が白です。こぶしは日本産で、木蓮と白木蓮は中国から
来ました。白木蓮は花が咲いているときは葉をつけませんので、花が咲けばこぶしと白木蓮
の区別はつきやすいです。少しかわいそうですが、この白木蓮の蕾を摘み、鼻づまりの改善
に用います。蕾は花の香りを閉じ込めるカプセルで、その方向成分によって通鼻し、呼吸を
楽にしていきます。

灰褐色絹様の光沢があり、柔らかい毛を密生し、蕾開かず、花梗のすくないもので、砕けば
芳香を発する乾燥した新しいものが良いとされています。辛夷には精油(シトラール、α-
ピネン、1、8-シネオールなど)や微量のアルカロイド(d-コクラウリンなど)が含まれ
ています。

辛夷は、漢方処方用薬として、発散・排膿作用があり、頭痛・頭重をともなう鼻炎・蓄膿症
などを治療する薬方に配合されます。

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)は、構成生薬のうち、辛夷・川芎(
せんきゅう)の組み合わせにより、鼻づまりや鼻炎、頭痛を改善します。
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)は、構成生薬のうち、辛夷・梔子(しし)・黄芩(おう
ごん)の組み合わせにより、慢性鼻炎や蓄膿症の頭痛・鼻づまりを改善します。

春は芽吹きの季節ですが、花のトラブルに悩む方が多い季節でもあります。My漢方薬を見
つけて、この時期を少しでも快適に乗り越えられたらいいですね。

参照:東京生薬協会HP 新常用和漢薬集
http://www.tokyo-shoyaku.jp/f_wakan/wakan2.php?id=122

 

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コブシ 画像提供:ツムラ