芍薬(しゃくやく)・漢方医による生薬解説22

芍薬(しゃくやく)・漢方医による生薬解説22

芍薬は観賞用の花で有名なシャクヤクの根です。『神農本草経』には中品として収載されています。

第17改正日本薬局方には以下のよう記載があります。

  • シャクヤク Peony Root PAEONIAE RADIX 芍薬
    本品はシャクヤクPaeonia lactiflora Pallas (Paeoniaceae)の根である.
    本品は定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,ペオニフロリン(C23H28O11:480.46) 2.0%以上を含む

まず、中医学には赤芍と白芍の区別があります。わが国でも芍薬は栽培されています。そしていろいろな芍薬が流通しており、ある研究によるとペオニフロリンの含有量が100倍近いバラツキがあったそうです。生薬は食品の延長ですから、同じ名前でも美味しいものもあれば、不味いものもあるように品質に差があることは理解できます。そんな差異を少なくするようにペオニフロリンの量が2%以上と日本薬局方では規定されているのでしょう。しかし、芍薬の作用がすべてペオニフロリンに頼っている訳ではなく、そうすると多くの芍薬をブレンドしてバラツキを防ぐという方法が取られます。中国で使われる赤芍は根の断面を見ても、内部まで赤色が滲み込んでいるそうです。そんな違いがある芍薬ですが、まだその作用の詳細が不明なのです。

筋肉の痙攣を治める作用があることは理解できます。なぜなら芍薬と甘草から構成される芍薬甘草湯はこむら返りの特効薬ですが、甘草湯にはこむら返りを芍薬甘草湯のように治める作用はありません。つまり芍薬にほぼほぼ頼っていることが理解できます。桂枝湯はかぜ薬としても有名です。一方で桂枝湯の芍薬を増量した桂枝加芍薬湯は風邪ではなく過敏性腸症候群などの特効薬になります。昔の人は、芍薬は横隔膜から上に効く作用を、横隔膜から下に効くようにするとも言ったそうです。いろいろと不思議ですね。

芍薬が処方名と関係する漢方エキス剤は芍薬甘草湯、当帰芍薬散、当帰芍薬散加附子、芍薬甘草附子湯、桂知母湯などがあります。漢方エキス剤の約3分の1に芍薬は含まれています。

 

043_SHAKUYAKU
芍薬 画像提供:ツムラ