炙甘草(しゃかんぞう)・漢方医による生薬解説9

炙甘草(しゃかんぞう)・漢方医による生薬解説9

炙った甘草です。『傷寒論』では甘草湯と桔梗湯のみ甘草が使用されていて、他はすべて炙甘草なのです。一方でツムラの保険適用漢方エキス剤では炙甘草湯にのみ炙甘草が使用されています。

修治は生薬に手を加えることで、中医学では多数の修治が行われていますが、和漢では修治は炙甘草、熟地黄、乾姜、附子などで限られた生薬のみに行われています。

中国では、最古の現存する文書といわれる『五十二病方』に修治は載っています。『五十二病方』は中国長沙市の馬王堆第3号漢墓より出土した前漢以前の作といわれるものです。そこには「咀」「冶」「淬」「炮」「燔」「熬」など 修治の指示と考えられる記載が見られます。また1800年前の『傷寒論』には、桂枝の「去皮」、甘草の「炙」、麻黄の「去節」など70 種類の薬物に対して修治が指示されています。

炙甘草が処方名と関係する漢方エキス剤は炙甘草湯です。

第17改正日本薬局方には以下のように記載されています。

 

  • シャカンゾウ Prepared Glycyrrhiza GLYCYRRHIZAE RADIX PRAEPARATA炙甘草
    本品は「カンゾウ」を煎ったものである.本品は定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,グリチルリチン酸(C42H62O16:822.93) 2.0%以上を含む.

 

013_KANZOU
甘草 画像提供:ツムラ