細辛(さいしん)・漢方医による生薬解説28
- 2019.01.05
- 生薬の種類

細辛は山地に自生するウスバサイシンの根を原材料とします。『神農本草経』では上品として収載されています。『神農本草経』の上品とは副作用がなく不老長寿に有効な生薬とされています。ところが細辛の良質品とは,根が極めて細く,外部淡褐色内部白色で,あたかも「山椒」のようにいたって辛く,その気味が舌を麻痺させるように烈しいもので,また新しいものがよく,年を経て辛味のぬけたものは劣品であるとされます。そんな舌を麻痺させるようなにものが上品に分類されているとは思えず、昔の細辛と今の細辛が同じものかを僕は疑ってしまいます。
第17改正日本薬局方には以下のように記載があります。
サイシン Asiasarum Root ASIASARI RADIX 細辛
本品はウスバサイシンAsiasarum sieboldii F. Maekawa又はケイリンサイシンAsiasarum heterotropoides F. Maekawa var. mandshuricum F. Maekawa (Aristolochiacea)の根及び根茎である.
細辛が処方名と関係する漢方エキス剤は麻黄附子細辛湯、苓甘姜味辛夏仁湯などがあります。

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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。