枳実(きじつ)と枳殻(きこく)・漢方医による生薬解説82
- 2019.01.12
- 生薬の種類

ミカン属植物 Citrus spp.(ミカン科 Rutaceae)の果実、幼果を「枳実」,更に成育の進んだ未熟果を「枳穀」とするのが一般的です。枳実は『神農本草経』には中品として収載されています。しかし、植物分類学的にも難しく、また生薬市場においても「枳実」と「枳殻」の基源が大変混乱しています。
枳実を含む漢方薬は、大柴胡湯、四逆散、排膿散、麻子仁丸、潤腸湯、大承気湯、小承気湯、茯苓飲などがあります。
第17改正日本薬局方には以下のように記載されています。
- キジツ Immature Orange AURANTII FRUCTUS IMMATURUS 枳実
本品はダイダイCitrus aurantium Linné var . daidai Makino,Citrus aurantium Linné 又はナツミカンCitrus natsudaidai Hayata (Rutaceae)の未熟果実をそのまま又はそれを半分に横切したものである.

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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。