パチョリ(カッコウ/藿香)・漢方専門薬剤師による生薬解説

パチョリ(カッコウ/藿香)・漢方専門薬剤師による生薬解説

パチョリはインド原産の常緑多年草で、日当たりが良い肥沃な土地に育ちます。緑の葉を意味するタミル語「パッチャイ・イライ」からの命名とか。縦長5㎜程の小花で、ピンクの雄しべは毛糸のようです。かつて大変高価なショールなどをインドからヨーロッパに輸出するときに防虫剤としてパチョリの乾燥葉が添えられていました。そのため、本物のインド産織物かどうかはパチョリの香りがするかどうかで判断されていた時期もあったそうです。

エキゾチックでスモーキーな墨汁のような香りは、好き嫌いがはっきりと別れる個性的な香りともいえますが、時間が経つにつれて熟成されるとローズのような芳醇な香りに変化していきます。

マレーシアやインドや中国では、虫刺されや蛇にかまれたときの解毒薬として使用されていました。催淫作用があることでも有名な精油です。葉茎はハーブティーなどに用います。

パチョリ以外にも、ペパーミント、カレンソウ(蚊連草:ローズゼラニウム)、タンジー、ローズマリー、カモミール.ティーツリーオイルなどが虫よけに効くハーブとして知られています。

実は、この全草が藿香(かっこう)です。抗真菌以外に目立つ薬効はないとされていますが、漢方では、藿香正気散などに使われていて嘔吐・下痢の治療に使われます。抗ウイルス作用もあると言われ、冬に多いノロウイルスが起こす急性胃腸炎(嘔吐・下痢・腹痛)にも応用されます。藿香正気散を温湯で服用すれば、不調改善に役立ちます。夏の感冒、暑さによる食欲不振、下痢、全身倦怠などに有効です。冷たいものを食べたことによる内側からの胃腸の冷えがあり、エアコンの冷気にあたったというような原因の時は藿香正気散を使うことが多いです。冷たいものや甘いものは、体を冷やします。また消化しにくいものなどが消化器官に溜まることで胃腸の消化吸収機能の調和が乱れます。藿香正気散は夏によく使われるので夏風邪の処方と思われていますが、夏だけでなく身体の湿気があれば一年を通して使えます。

体を温めることは大切です。からだを冷やす食べ物を取り過ぎると胃腸の働きが悪くなり、さまざまな不調を引き起こします。食事が基本です。冷たいものや甘いものをいただいた後は、体を温める食材を利用してバランスをとることが肝要です。漢方は食事の延長です。モダン養生訓で未病のうちに対処しましょう。