厚朴(こうぼく)・漢方医による生薬解説32
- 2019.01.05
- 生薬の種類

厚朴はモクレン科の落葉高木で、その樹皮を使用します。厚朴の葉は岐阜県高山名物の朴葉味噌で有名です。厚朴は生薬単独では温める作用があります。
第17改正日本薬局方には以下のように記載があります。
- コウボク Magnolia Bark MAGNOLIAE CORTEX 厚朴
本品はホオノキMagnolia obovata Thunberg (Magnolia hypoleuca Siebold et Zuccarini), Magnolia officinalis Rehder et Wilson 又はMagnolia officinalis Rehder et Wilson var. biloba Rehder et Wilson (Magnoliaceae)の樹皮である.本品は定量するとき,マグノロール0.8%以上を含む.
日本薬局方で記載があるホオノキ(朴の木)は日本固有の種で、枝先に大きな葉が輪生状について傘のようであることから、英語では“Japanese Umbrella Tree”と言われます。ホオノキは樹皮を厚朴として利用する以外にも、果実を“朴の実”と称して民間薬として利用したり、また、その大きな葉を使って“朴葉味噌”をつくることでも有名です。
厚朴が処方名と関係する漢方エキス剤は半夏厚朴湯、柴朴湯、桂枝加厚朴杏仁湯などがあります。漢方エキス剤の約10分の1に厚朴は含まれています。

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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。