茵蔯蒿(いんちんこう)・漢方医による生薬解説13
- 2019.01.05
- 生薬の種類

キク科のカワラヨモギの花です。黄疸の聖薬と言われます。ヨモギは身近な植物ですね。カワラヨモギは字の如く河原や海岸の砂地に生える多年草です。わが国にも自生しています。『神農本草経』では上品に収載されています。
他の多くの植物と同様、茵蔯蒿の原植物も混乱しています。ヨモギ類が多数なこと、類似植物も多いこと、などから全く違った植物も利用されていたようです。しかし、写真もありませんし、DNA鑑定もできないので、その真偽は不明です。
茵蔯蒿が処方名と関係する漢方エキス剤は茵蔯蒿湯、茵蔯五苓散などです。
第17改正日本薬局方には以下のように記載されています。
- インチンコウ Artemisia Capillaris Flower ARTEMISIAE CAPILLARIS FLO 茵蔯蒿 茵陳蒿
本品はカワラヨモギArtemisia capillaris Thunberg (Compositae)の頭花である.
日本薬局方には、茵蔯蒿と茵陳蒿、つまり草冠のない「陳」と草冠のある「蔯」のふたつとも記載があります。

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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。