半夏(はんげ)・漢方医による生薬解説29

半夏(はんげ)・漢方医による生薬解説29

半夏はサトイモ科の多年草であるカラスビシャクの球茎です。半夏は『神農本草経』の下品収載品で,鎮吐,鎮咳,去痰などに有効とされています。

生薬「半夏」は六陳の一つで,陳旧品が良いとされています。昔は採取後3年を経過しないものは使ってはいけないと言われていました。実際,半夏を試食すると,舌,喉,口腔内がしびれ,腫れて痛み,よだれを流し,口を開けるのが非常に困難になります。そんな時には生姜を飲むと、半夏の副作用が緩和されるのです。ですから半夏を含む漢方薬には生姜または乾姜が一緒に構成生薬として存在します。

第17改正日本薬局方には以下のように記載があります。

  • ハンゲ Pinellia Tuber PINELLIAE TUBER 半夏
    本品はカラスビシャクPinellia ternata Breitenbach (Araceae)のコルク層を除いた塊茎である

カラスビシャクの球茎からひげ根を抜いたものはいかにもおへそをくりぬいたような形をしているので「へそくり」という別名があります。いくら抜いても生えてくるので農家にとって厄介な畑の雑草でした。つわりの妙薬として有名であった「へそくり」を農家の嫁は堀り集めて、これを薬屋に持っていき、自分だけのお金を作ったのです。これが「へそくり」の語源と言われています。

半夏が処方名と関係する漢方エキス剤は半夏厚朴湯、半夏瀉心湯、半夏白朮天麻湯、苓甘姜味辛仁湯、小半夏加茯苓湯などがあります。漢方エキス剤の約5分の1に半夏は含まれています。

 

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カラスビシャク 画像提供:ツムラ