呉茱萸(ごしゅゆ)・漢方医による生薬解説4
- 2019.01.05
- 生薬の種類

呉茱萸はミカン科のゴシュユの果実です。六陳(古い方が良品とされる生薬6個)のひとつです。六陳は他にミカン科の陳皮と枳実、そして半夏、麻黄、狼毒です。呉茱萸は『神農本草経』では中品に収載されています。呉茱萸の名称は呉(現在の江蘇省一帯)に産する茱萸であるからとする説と,呉に産するものが良質品であったからとする説があります。呉茱萸には古来いくつかの種類があったようです。日本薬局方でも原植物にニセゴシュユとホンゴシュユの2種類があります。
呉茱萸は煎じ薬では相当苦いですが、エキスではそんな苦さは緩和されています。でも結構苦いという人はいます。「苦くて、苦くて飲めない」と訴える人にはあまり効きません。「苦いけど先生が言うほどは苦くはない」と語るひとは気長に飲むと結構効きます。漢方は「良薬口に苦し」ではありません。
呉茱萸が処方名と関係する漢方エキス剤は呉茱萸湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯などです。
第17改正日本薬局方には以下のよう記載されています。
- ゴシュユ Euodia Fruit EUODIAE FRUCTUS 呉茱萸
本品はゴシュユ Euodia ruticarpa Hooker filius et Thomson (Evodia rutaecarpa Bentham), Euodia officinalis Dode (Evodia officinalis Dode) 又はEuodia bodinieri Dode (Evodia bodinieri Dode) (Rutaceae)の果実である.

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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。