五味子(ごみし)・漢方医による生薬解説27
- 2019.01.05
- 生薬の種類

五味子は各地に自生するマツブサ科のチョウセンゴミシの果実を使用します。ヒチョウセンゴミシは,朝鮮半島,中国,アムール,樺太,日本に分布する雌雄異株の植物で,地中に根を伸ばし増えていきます.享保年間(1716〜36年)に中国からもたらされました。北海道,本州の北部及び中部の山地に自生しています。五味子は「甘・酸・辛・苦・鹹」の五味を持つところから名付けられ,『神農本草経』では上品に収載されている生薬です。
第17改正日本薬局方には以下のように記載されています。
- ゴミシ Schisandra Fruit SCHISANDRAE FRUCTUS 五味子
本品はチョウセンゴミシSchisandra chinensis Baillon (Schisandraceae)の果実である.
五味子が処方名と関係する漢方エキス剤は含む処方には苓甘姜味辛夏仁湯などがあります。
薬剤師・中山今日子先生より
五味子は、韓国では昔からお茶をはじめ、お菓子やお酒の材料として使われています。オミジャ茶は漢字で「五味子茶」と書くとおり、5つの味「酸味・苦味・甘味・辛味・塩味」が含まれています。飲む人によって感じる味が変わる、という不思議なお茶です。また、古来より、体調によっても感じる味が変わり、その日の体調が分かると言われています。5つの味のうちもっとも強く感じる味で不調が分かります。
苦味(心)・・精神疲労や疲れが出ているかもしれません。また貧血や、血がドロドロで血流がわるい状態も考えられます。
甘味(脾)・・食べ過ぎ、ストレスによって脾臓の機能が低下しており、老廃物がたまっています。
酸味(肝)・・お酒の飲みすぎ、イライラなどでストレスがたまり、肝機能が低下しているサイン。
塩味(腎)・・下半身が冷えている、疲れがなかなか取れないような状態です。
辛味(脾)・・気管支が弱っていて、体のエネルギーが不足しています。

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Author:新見正則 投稿一覧
1985年慶應義塾大学医学部 卒業 1998年英国オックスフォード大学医学部博士課程 移植免疫学にてDoctor of Philosophy (D-Phil) 取得 2002年帝京大学外科准教授 2013年ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞。帝京大学医学部附属病院において国内で初めて保健診療のセカンドオピニオン外来(外科一般)を開設し、その普及に尽力してきたパイオニア。テレビや新聞などメディアでの紹介も多数。西洋医であるとともに漢方医でもあり、同科血管外科グループにおいて血管、漢方、未病、冷え症の各外来を担当。日常生活や食生活の改善指導、西洋薬・漢方薬の処方により、多くの患者の症状を改善してきた実績を持つ。