附子(ぶし)・漢方医による生薬解説30

附子(ぶし)・漢方医による生薬解説30

第17改正日本薬局方には以下のように記載があります。

  • ブシProcessed Aconite Root ACONITI RADIX PROCESSA 加工ブシ
    本品はハナトリカブトAconitum carmichaeli Debeaux 又はオクトリカブトAconitum japonicum Thunberg (Ranunculaceae)の塊根を1,2 又は3 の加工法により製したものである.
    1 高圧蒸気処理により加工する.
    2 食塩,岩塩又は塩化カルシウムの水溶液に浸せきした後,加熱又は高圧蒸気処理により加工する.
    3 食塩の水溶液に浸せきした後,水酸化カルシウムを塗布することにより加工する.
    1,2及び3の加工法により製したものを,それぞれブシ1,ブシ2及びブシ3とする.
    ブシ1,ブシ2及びブシ3は定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,それぞれ総アルカロイド[ベンゾイルアコニン(C32H45NO10:603.70)として]0.7 〜 1.5%,0.1 〜 0.6%及び0.5 〜 0.9%を含む.本品はその加工法を表示する.

つまり、日局では加工法により「ブシ1」,「ブシ2」,「ブシ3」を区別し,総アルカロイド含量はそれぞれ0.7〜1.5%,0.1〜0.6%及び0.5〜0.9%を含むと規定されているのです。

附子はトリカブトの根です。トリカブトは、その猛毒ゆえに『神農本草経』では当然のように下品に収載されています。そして、よく昔のはなしに登場します。四谷怪談のお岩さんの毒、狂言「ぶす」に出てくる毒などがその例です。附子をそのまま生薬として用いる事は無く、修治と呼ばれる弱毒処理が行われます。ですから、医師より処方される附子を多量に服用しても死亡することはありません。

ただ、多量投与は心臓がドキドキしたり、しびれたりする副作用が生じることがあります。附子は子供では中毒が起こりやすく、お年寄りは起こりにくいと一般的に考えられています。強心、鎮痛作用などがありますが、体を温める作用も強く、また少量の附子を加えると漢方薬全体の効力が増強することがあります。

附子が処方名と関係する漢方エキス剤は麻黄附子細辛湯、桂枝加朮湯、真武湯、芍薬甘草附子湯、葛根加朮湯、附子理中湯、桂枝加苓朮湯、当帰芍薬散加附子などがあります。真武は附子の別名です。

 

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トリカブト 画像提供:ツムラ