防已(ぼうい)・漢方医による生薬解説33

防已(ぼうい)・漢方医による生薬解説33

第17改正日本薬局方には以下のように記載があります。

  • ボウイ Sinomenium Stem and Rhizome SINOMENI CAULIS ET RHIZOMA防已
    本品はオオツヅラフジSinomenium acutum Rehder et Wilson (Menispermaceae)のつる性の茎及び根茎を,通例,横切したものである.

この防已は日本と中国では原植物が異なっています。日本では「防已」の原植物は日本薬局方にあるようにオオツヅラフジですが、中国では『中華人民共和国薬典』に「防己」としてツヅラフジ科のシマハスノハカズラ Stephania tetrandra の根を規定しています。一方、中国でオオツヅラフジの藤茎は「青風藤」の名称で規定されています。「防已」は、日本では中国産も使用していますのでその基源が異なることには注意が必要です。

日本薬局方の防已にはシノメニンというアルカロイドが含まれており、このシノメニンは鎮痛薬にされるモルヒネと同じ骨格ですが光学異性体なのです。鎮痛作用は限定的ですが効果はあります。和漢では主に下半身の浮腫や関節水腫などの利水、関節痛やリウマチなどの鎮痛を目的に使用されます。

防已はツヅラフジ科のつる性の茎および根を原材料とします。防已が処方名と関係する漢方エキス剤は防已黄耆湯、木防已湯などがあります。実は木防已は別物ですが、ツムラエキス剤では木防已として防已を使用しています。

 

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オオツヅラフジ 画像提供:ツムラ